今現在、私は準2級の呪術師、高校2年である。
あの後、凛が呪霊に殺されたのは隠しながら凛が死んでしまったことを凛の両親に伝えた。
伐倒される覚悟で言った。どんなに惨めに言われようと、私はそれくらいのことをしてしまったから。
でも、凛の両親は涙を流して笑った。
2人が私の家族でいてくれる。
これ以上幸せなこと、願ってもいいのだろうか?
これがたとえ縛りでもいい。
1人じゃないのなら___________________
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彼がいきなりそんな事を言いながらずいと顔を近ずけてきた。
先生の腕が私の肩を包む。
離れようとしても力が強すぎて離れられないし、少し痛いくらいだ。
必死で耳を抑える。
別に赤くなんてなってない。
もとからよもとから。
さっきまであんなに挑発してきた先生が
急に黙り込んだ。
どうしたんだろうと顔を覗き込もうとするけど、彼の手で抑えられてしまった
この人といると、なんだか本当の自分でいられるような気がした。
別に私はまだこの人を信じきっていないし、
尊敬出来る人かと言われると、この人はワガママだからそんなことはない。
だけど、私に強さを教えてくれた。
この人が"最強"。
この人が居なければこの世界もまた
大変な事になる。
つまり、彼はこの世界に"必要不可欠な人間"
そんな彼は私の面倒を見てくれている。
あの日からずっと。今までも。
こんなに近くに居ていい人じゃないのに、
縋ってしまう。
『___君はもう、1人じゃない。』
こんなにも熱くて、今にも私の心が溶けそうなくらい、存在するあの人の言葉。
_これこそが、彼が私にかけた、"呪い"
なんだろうか。
呆れてさっさと任務に行こうとすると
彼に呼び止められる。
振り返ってみるともう目の前にはいなくて
いつの間にか背後に立って私の頭を撫でている。
5⃣side
もしお前が、呪いそのものに憑かれたりしたら俺は____
………考えるのはやめだ。
これを知ったらあなた自身が傷付く。
もう、二度と繰り返さない為にも、
このクソ呪術界を変えなければ。
それが、俺が俺にかける縛りであり、
夢なのだから______
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。