気づけば夢の中に浸っていた。
周りには凛や今まで亡くしてしまった人達、そして、私が使っていた"黒龍"
折れた倶利伽羅剣があった。
ある意味で、地獄だった。
亡くしたもの、人達を見るのはとても辛かったし、心地のいいものでは無い。
けれど、向き合わなければ、
私はまだ__《戦ってすらいない》
…いつしか、彼に言われた。
『孤独を愛さないで』と。
そうなんだ。私は1人になりたいんじゃなくて、1人になろうとしていた。この世界から逃げるように、自分を否定して。
もう、過去には戻れない。
凛はもう二度と、会えない。
亡くなった命は、戻ってこない。
でも、それが人間で、
それが人間の美しさなんだ。
だからもう、"前を向くしか道はない"
折れた刀にはもう、力が無かった。
なんの呪力も、何も込められてないのに、
折れた刀は、動いた。
刀から見慣れた黒い龍がでてきて、
その黒い龍は人の形をした誰かになった。
この姿は_____
より一層、刀に纏う黒い炎が燃え上がる。
____生きなければならない。
待ってる人がいる、
共に闘いたい仲間がいる、
__もう、前の私とは違う。
凛、私いまひとりじゃないよ。
頼りになる人がたくさんいる。
守りたいものも沢山増えた、
呪術師になってからつらいこともあるけど守りたいものが増えたのは私にとってひとりじゃないんだって、ひとりで戦ってるんじゃないんだって思わせてくれた。
だからまだ、私は呪術師である私でありたい。
ごめんなさい、凛。
でもきっとあなたなら、こう言ってくれると思うんだ。
目の前にいた凛はだんだんと薄くなって
儚く消えていった。
周りにいた犠牲者達も1人1人立ち去っていく。
もうじきこの夢も___終わる。
これは私の"空間"
私自身が創り出したものである。
私が私を殺すのか、生かすのかの境界線。
この空間から抜け出すには、やはり、
領域を生み出すことが必要だ。
でも、今の私なら_____
そう言い放った瞬間、
折れた刀が治ってゆく。
不動明王の力なのだろう。
彼にも、感謝をしなければ。
治った黒龍は打刀の形ではなかった。
もう、以前のような姿ではない、が__
芯が強く、もう折れたりしない。
その中に美しい呪いを灯す、
熱い魂を宿す、竜となれ____!
あなたの創造する刀は
刀の種類でいうと太刀にあたる大きさで、
色は黒く太く、見ただけで屈強な姿であることがわかる刀だった。
呪力をこめて刃を振るうと紅暗い呪力の炎を灯された。
以前と余り変わらないように見えるが__
つまり、大太刀にも、槍にも、そして弓にもなれる万能かつ強力な呪具となった。
当然、もう以前の倶利伽羅剣ではない。
だが、これは完全にあなたの刀となった為、
倶利伽羅剣はこの黒竜に"託された"
この真っ黒い空間から光が指していく。
その光は、絶望かもしれないし、希望かもしれない。
呪術師は、不安定な世界で生きて戦う。
それが時に、どんなに残酷だろうと、
__最後まで戦い抜くと決めたのだ。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。