玲於said
目覚めた時には朝で病院のベッドの上だった。
体を起こそうとした時、
手の上に何かの重みを感じた。
そこに居たのは瞼を閉じて俺の手の上に頭を乗せるあなただった。
体を起こそうとしたことで起こしてしまっただろうか。
目覚めたあなたは口早にそう言った。
そう言いながら笑うあなた。
その笑顔を見た時、ズキっと胸が痛んだ。
なんだろう、この感じ。
初めてのような初めてじゃないような。
まだ体が万全じゃないだろう。
そう思って片付けた。
そう言い残し足早に去っていくあなた。
この時は俺はまだ気付かなかった。
胸がポっと暖かくなっていること。
いつもメンバーとして見ていたあなたを女として見ていたこと。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。