第33話

33話
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2020/07/05 06:28
佐野玲於
佐野玲於
さあ、もう大丈夫。
中に入ろう。
そういいあなたの手を引っ張る。

何度もあなたをこうやって連れていったけど、なんだかいつもより細い腕に感じた。
家に入るなり、
数原龍友
数原龍友
おかえり〜、ってあなた!!
どうしたん!
小森隼
小森隼
えっ、だれ!?
あなた??
あなた

ああ、ちょっとイメチェンしたんだ〜。
帰り道雨降るなんて今日言ってたっけ?

なんで、正直に言わないんだろう。

隣でいつもの笑顔をみんなに向けているあなたを見ると心が痛くなる。
あなた

濡れちゃったから着替えてくるね〜。

佐野玲於
佐野玲於
あっ、俺も。
2階に駆け上がるあなたの後を追いかける。
佐野玲於
佐野玲於
待って、
後ろを振り向くあなたの顔は少し悲しそうな笑顔だった。
あなた

なに?

佐野玲於
佐野玲於
なんでみんなにちゃんと言わないの。
下向きの目で小さく微笑んだあなたは、
あなた

だって、皆の悲しんだ顔、見たくないもん。

こんなこと普通に言うから。
自分が一番辛いのに抱え込むから。
あなた

それじゃあ、着替えてくるね。
玲於、今日のことは内緒だよ?

何も答えられない俺がそこにいた。

なんだか、あなたが壊れそうで。
守りきれない俺が想像出来る。












明日は生放送の歌番組だった。

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