もうこんな時間か。
時計を見るともう10時をすぎていた。
2年の記念日なのにアバハウスは私一人だけ。
そらとえいちゃんは水溜まりと食事に。
みっくんは実家に帰ってる。
あーあ。なんでだろ。
ほんとに冷められちゃったかな。
もう寝よう。
辛いことばかり考えても仕方ない。
私は寝た。
いや、正確には「寝ようとした」
リクヲ君のことを考えると寝れるはずもなく
「今何してるのかな?」
「ご飯食べたかな?」
「誰といるんだろう。」
そんな不安が頭をよぎる。
でも人間というのは不思議なもので
いつの間にか眠りに落ちていた。
(あなた)…………
あなた(なんだろう……。)
あなた(今リクヲ君の声がした気がした。)
あなた(そんなリクヲ君に会いたいのかな。)
リクヲ「あなた……」
あなた(ほら……また。)
リクヲ「寝ちゃっ、た……?」
あなた(あれ。近くで聴こえる。まさか。)
あなた「あれ……?リクヲ君……?なんで……」
リクヲ「なんでって……2年の記念日だから。」
あなた「で、でも……」
リクヲ「ごめん。遅くなって。」
リクヲ「でもまだ、ギリギリ0時回ってない。」
時計を見ると11時半すぎだった。
いつの間にか私は寝てしまっていたのだ。
リクヲ「ごめん寂しくさせて。」
あなた「え、なんで知ってるの……?」
リクヲ「エイジに、寂しくさせんなよって
言われて。あと……」
リクヲ君は私の枕を指さす。
あなた「え……あれ……。」
私の枕は涙で濡れていた。
リクヲ君を考えて泣いてしまったのだろう。
ここまで泣いたのは久しぶりだ。
リクヲ「ごめん。ほんとに。……ごめん。」
あなた「いや、いいよ。分かってるよ」
あなた「もう好きじゃないんでしょ?」
リクヲ「え……。」
あなた「2年間ありがとう。楽しかった。」
あなた「ほんとに……。ありが、とう。」
あなた(違う。こんなことを
言いたいんじゃない。)
あなた「あれっ……?涙が……」
あなた「あははっ……、変なの……」
リクヲ「あなた…………」
あなた「ごめんね。」
私は必死に涙をこらえて部屋を出た
でも涙をこらえることは出来なかった
こんな顔見せなくない
これ以上困らせたくない
もう終わりなのかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!