第10話

story 10
707
2021/12/02 11:20
~智洋's side~



楽屋であなたに電話したんやけど



…何かいつもと違ない?



いつもなら、本番後に電話するんやけど

今日は何か落ち着かんで、

ただあなたの声が聞きたくて…




それで電話したんやけど




どうやら外出中だったみたいやな

今日が大阪の千穐楽




開催できたのが奇跡のような舞台やから




最後までしっかりやらんと


そして、また一回り成長できたらええなぁって思っとる




そのためには一日一日を頑張らんと


……………………………………………………………………………………

千穐楽も無事に終了し、その場でスタッフ含めて軽く打ち上げをする




このご時世やし、今までならみんなで飲みに行ったりしてたんやけどな




そう思いながら、ホテルに戻り、ふとスマホを見ると


…っん、淳太から?




グループラインやなく、メッセージが1件直接入っとった

『大阪千穐楽お疲れさん、今日行こうと思ったんやけど、行けんかったわ




代わりにプレゼント送るから…』




…ん、プレゼント?


訳が分からずにいると、最後に一文




『あなたに電話してみ?』




とだけ書いてあった


…あなたに?




なんでやろ




納得いかないまま、あなたに電話する




あなたはすぐに出てくれた
あなた
神ちゃん、お疲れさま
智洋
なぁ、淳太があなたに電話しろって言うんやけど
智洋
なんかあったん?

電話の向こうであなたの動きが止まったような気がした
智洋
あなた、どうしたん?
あなた
うん、え~っと

何やら歯切れの悪い返答




…なんか隠しとるん?




昼の電話の時の違和感を思い出す
智洋
何かあるんやったら、教えてや
あなた
神ちゃん、怒らない?
智洋
うん、約束する
あなた
…今ね、大阪にいるの

あなたの言葉に今度は俺の方が固まってしまった


プリ小説オーディオドラマ