「私、結衣が好きだよ」
気がついたら夜になっていた
まだ先輩の温もりや耳元での言葉が残る
先輩は随分前に帰った
「塾があるー」って言ってたっけ
塾行ってるんだな
私も行った方がいいかな
さっき熱を測った時、36.9度になっていたから
もう熱はひいたはずだ
私は起き上がって親が帰るのを待つ
ピロン、とケータイが鳴った
はづき「大丈夫ー?
お姉ちゃんが心配してたぞう🐘」
お姉ちゃん、翡翠先輩のことか
前から全然会ってない気がする
また今度会いに行くか
杏奈「大丈夫ですか」
あ、杏奈だ
前に友達になったついでに友達登録をしていたんだ
心配してくれるなんて嬉しいな
私は二人にメッセージを送るとケータイの電源を切った
お母さんが帰ってきた
挨拶しないと叱られるから挨拶しないと
私はそこまで言うと部屋に戻った
ベッドに横になると目を瞑った
先輩のことがまた頭の中を巡る
顔が赤くなって体の芯が熱くなった
麗華サイド
塾って言って出てきちゃったな
本当は塾なんて行ってないのに
居た堪れない気持ちになって逃げちゃった
今頃、結衣は何してるのかな
好きって言って嫌がられたかな
出会いたての頃みたいに
思わず笑いが溢れた
ずっと一緒にいられるかな
いや、いられるよね