あなたside
前回のおさらいな。
俺は神様との賭けである第1段階をクリアした。
そのご褒美として受け取ったのは……
自分の体だった。
そう。生きていた頃の俺の体
まぁ、朱雀あなたとしての体ではなく、闇夜あなたとして過ごしていた体を縮小した姿だ_______________
このままこの姿で居座る訳にもいかないし
第1、もうこの家にいる理由が無くなった
神様との賭けの2つ目は俺自身の事についてだから、
ここに居なくても解決出来る。
寧ろ迷惑でしかないだろう。
家出る時の服は……まぁ、色彩のズボンと出久君の服でも着よう。
随分ぶかぶかだけどな……
……黙って出ていくことも出来るがとりあえず世話になったからな……
色彩あなたへ
長い間一緒に過ごせて良かった。
辛い事、悲しい事の方が多かったと思う。
けどさ、色彩なら大丈夫だよ。
もう俺は一緒に居られないけど、緑谷達がいる。
1人じゃないよ。
頑張ってヒーロー目指せよ。
じゃあな。
あなたのニックネーム
緑谷出久へ
短い間世話になった。
もっと早くに事情を話せなくて悪かったと思ってる。
でも、事情が事情だったから、許して欲しい。
訳あって、色彩の体から分離した。
だから、色彩の中に俺はもう居ない。
俺は残りのやる事をやるから、この家を出ていく。
勝手にして悪い。
色々と迷惑かけたな。
色彩を頼む。
朱雀あなた
ガチャ……バタンッ🚪
久しぶりの自分の体は違和感しか無いが、
それと同時に嬉しくもなる。
見慣れた街並み
飛び交う人の声
頬を撫でる風
眩しいくらいに光照り付ける太陽
こんなにも普通の日常が幸せと感じる日は無いだろうから、しっかり胸に焼き付けておこう。
2度も3度も体験するのはごめんだ。
そんな感じでブラブラしてる訳だが、
これから先どうするべきか……
餓鬼が昼間っから1人でブラブラしてたらヒーローに通報されそうだしな……
不思議な目で見られるのも間違いないわ……
ほら来た……
1人って答えたら警察とかに……
俺の目の前に母さんが居る
俺が覚えているよりずっと痩せて、少し歳をとってる……
俺に……見知らぬ子に向ける優しい眼差しは……
幼い頃と変わって居なかった_______________
何時ぶりだろう……
母さんと二人で並んで歩くのは……
母さんからしたら見知らぬ男の子なんだろうけど、
何だか、心がポカポカした……
久しぶりに繋いだ母さんの手は
少し皺があって、力を入れたら折れそうなくらい
細かった_______________
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。