起き上がった瞬間、野薔薇様が抱きついてくる。
なんでそんなにいきなりディスられなきゃいけないのか。
伏黒さんが野薔薇様を引っ張って部屋から追い出す。
あー、なんか、懐かしい。
こうやってくだらない会話をするのも何年かぶりに感じてしまう。
死んでたかもしれないから。
ふと思った。
僕は、勝てなかった。
弱かったです。
あの頃と何も変わりません。
むしろ...
頭に優しい物を感じる。
先生は頭を撫でてくれていた。
五条先生の姿が勝己と重なる。
いつも頭を撫でてくれてたのは、勝己だった。
感情が一気に爆発する。
僕は幼馴染の、優しくて強くてかっこいい。
僕にとっての最高のヒーローの隣を誰かに譲って。
「呪術師」を知らなかったら、ちょっと遠くても、勝己はきっと優しくおはようって言ってくれたた。
勝己は涙を拭いてくれた。
勝己は怒ってくれた。
勝己は褒めてくれた。
そんな大好きな幼馴染を差し置いてまで僕が手に入れたかったものって、なんだろう。
なんて中途半端な人間なんだろう。
自分の馬鹿さに笑えてくる。
泣いた。沢山。
泣き疲れて寝てしまった。
だから
先生がなんで朝、顔が赤かったのか知らない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。