相変わらずひょうきんな伊野ちゃん。
僕は必死に考えた。
”うえてさいぬじよせ”
君のことだから僕のことを思って優しめの暗号にしたのかな?
「うーん、取り憑かれたとは言ってたけれどそれが出ていった理由だったとは…」
「あぁ出来ると思うよ。呼んでみようか」
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霊媒師「あぁこの子かい。この子はね、私も名前は知らなかったんだが、通り縋った時になにか強い力を感じてね。そしたら体調不良だのなんだのって言うからちょっと見てみたんだ。そしたら案の定…」
「そう、かなり強かったね。」
「うーんそこまでは…。
でもあの霊はかなり強いんだ。だから今生きてるかどうか…。」
「あぁあるよ。」
(本当はどうなのか知りません。)
「実際、この村では過去に何人もの人が犠牲になっているよ。」
「そうだね…」
「でもまだ決まった訳では無い。あの子は生きる力がとても強いんだ。だから今でも元気に生きていると信じよう。」
「困ったらいつでもおいでね」
君のことに関してなにか有力な情報が得られているのかどうかさえも分からない。
ねぇ、どこにいるの。
呪い殺されたりなんかしてないよね。
僕らはありったけの情報を犬鳴村の方が他から搾り取って帰った。
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知念は可愛いこと言うなぁ
あまりに見つからなくて自信がなくなったのか、知念は突然泣き始めた。
俺にはいま、それしか言えない。
なにか知念の助けになれるとしたら…
あなたちゃんを見つけることだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。