第56話

49話目 久しぶりの病院
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2023/02/17 04:37
阿部side




久しぶりの病院。




あんまり好きではない。




座って待っていると、話を聞いた弟が出てきた。




「おまたせ」




「ううん、全然」




「ちょっとお医者さんが話があるって」




「うん、分かった」




部屋に入ると、既に良くしてもらってる先生が居た。




「お久しぶりです」




「お久しぶりです。阿部さん。どうぞお座りになってください」




俺はその席に座った。




「何か悪いところありましたか?」




「検査は大丈夫でした。でも、最近薬の効果が効きにくくなってると思って」




「それは少しあります」




「薬なのですが、少し種類を変えたいと思って相談を」




「先生に任せます。信用しているので」




「じゃあ、この薬に」




話を終えて、部屋を出た。




病院を出て少し歩く。




「毎回着いてきてくれてありがとう」




「気にしないで」




「気にするよ。何となく」




「大丈夫だから。」




「最近どうなの?倉本さんと?」




「なんで急に倉本さんが出てくるわけ?別に特に何も無いけど」




わかる。




ずっと一緒に居るんだもん。




じっーと弟の目を見ると逸らされた。




「辞めてよ」




「俺のことは気にしなくていいから」




「申し訳ないけど、目黒さんと住むってなったとしても送り迎えは俺の仕事だから」




「なんで目黒くんが出てくるわけ?」




「ずっと一緒にいるでしょ。2人なら」




「まぁ、そうだね。目黒くん次第」




「やっと結ばれたんだもん。もう解けないようにしないと」




「もう?日本語おかしくない?」




「あっ……そうだね」




「スーパー行く?」




「食材あるから今日はいいよ。それに早く帰った方がいいでしょ」




「どうして?買い物付き合うよ」




病院というところに行って




いつもと違う精神を使ったから




疲れたけど、せっかく弟と外に出たし




ちょっとは買い物とかしたいなと思ってた。




「何時でも一緒に行けるから。今日は帰ろ」




「どうして分かったの」




「兄弟だよ。分かるに決まってるじゃん」




「でもさ」




「家でゆっくり過ごせばいいよ。目黒さん呼ぶ?ご飯とか一緒に」




「いや、目黒くん忙しいんだって。なんか仕事が終わらなくて土日出勤らしいよ」




「そっか、じゃあ今夜はゆっくり鍋かな?」




「お鍋いいね。食べたい」




今は仕事か~目黒くん。




そんな事を思いながら、




タクシーに乗り込んだ。




目黒side




会社ですトラブルが起きて




土曜日出勤。




はぁ、このままだと明日もってなりそう。




って思いながら遅くなった昼飯をいつものように食べる。




「はぁ、疲れた」




「終わらないよね。きっと」




「無理だろうね」




「明日も出勤確定かな~」




「かもね」




1時間休憩のうち、ちゃんと使えるのは30分。




こんなにやることあんまりない。




「倉本さん」




「なに?」




「どうなの?阿部くんの弟くんとは」




「どうして急に」




「気になってんの。進展は?」





「別に……ないけど」




「ほんとに?」




「ほんとに。会ってもないしただひとつだけ言うなら、メールはとるようになった」




「そうなんだ、良かったね」




「うん……まぁ」




ぱっと時計を見ると、後10分だった。




「やば!食べないと」




「本当だ。急ご」




ご飯を急いで食べて、デスクに戻った。




阿部くんは何をしているのだろう?




それがとても気になった。

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