第62話

55話目 日記に書いてあった言葉
1,522
2023/02/17 04:53
阿部side




時が過ぎ、




季節は冬が去って、春となり




梅雨になった。




最近では、向井さんのことを




こーじと呼び




弟とこーじが仲良く話していたりする。




倉本さんと弟の展開は……




兄には教えてくれないらしい。




「今年は1回雨が落ち着くのですが、また続きそうです。折りたたみ傘を持ち歩きましょう」




天気予報でも雨が降ることを伝える。




目黒くんとの関係は




今も変わらない。




仕事が終わり、目黒くんと電話して




弟が迎えに来てくれることを待っていた。




「6月30日、行きたいところがあるんだけど仕事終わり予定ある?」




「ないよ。大丈夫」




「ほんとに?良かった」




「行きたいところってどこなの?」




「『星』に出てくる展望台。たつさんの家から車で15分くらいの場所にあるって言ってた」




「行きたい!でも、雨大丈夫かな?」




「予報が雨でもあの場所に行きたいの」




「いいよ。俺も行く」




「ありがとう」




弟が来てくれて、電話を切った。




6月30日の当日、




今日は朝の仕事で終わり




帰りが早かった。




予報は雨だ。




家に帰って服を着替えたり




準備をして、カレンダーを見る。




すると、もう1年も経つんだと実感して




日記を開いた。




最近のには、いい思い出がたくさん示されてる。




ゆっくりみて、懐かしくなっていると




高校1年生の頃の日記にあった




ある言葉。




"自分には好きな人がいる。
真面目で素直でかっこいいけど大型犬みたい。
俺とはまるで正反対だけど
初めて試合を見た時のこと忘れない。
6月30日には気づかなくて
日記を読み直して気づいたんだけどね(笑)
サッカーをしてる彼が羨ましくて憧れで
中学の頃やってたけど、
体力的問題で諦めた俺からしたら
本当にかっこよかった。
他校の生徒だったけど、
今となっては同じ高校の後輩で恋人。
俺は性別とか関係なくてただ彼が好きだった。
その彼を泣かせなくない。
俺は1番思い出が多い場所に
気持ちを置いて去りたい。"




「なにこれ」




この分は高校1年生の俺じゃない。




高校と後輩といっているし、




でも、思い出せない。




中学生の頃に出会っていたのか。




俺は中学生の頃の日記をめくって




読んでいくと




"中学で行われたサッカーの試合。
提出物があり、学校へ行くと
サッカーをやってる他校生に惹かれた。
後輩に聞くと、"目黒くん"というらしい。
楽しそうで心からサッカーが好きそうで
いつの間にか5分が過ぎていて
急いで家に帰って勉強を始めた"




目黒くん……。




思い出が多い場所。




自分にはわからないけど




俺は車を走らせて




たつさんの図書館へ向かった。




なんでかは分からない。




でもそこだと勝手に思った。




俺は目黒くんにひとつメールを送った。




[今日、現地集合にしてほしい!ごめんね]




俺は車を止めて、




いつもと違う気持ちで




扉に手をかけた。


プリ小説オーディオドラマ