第63話

56話目 探していた日記
1,624
2023/02/17 04:55
阿部side




鈴の音がなり、




奥からたつさんが来る。




「久しぶりじゃの」




「久しぶり。たつさん」




「ひとりなんじゃの。珍しい」




「たつさんに聞きたいことがあって」




「ん?どうしたんじゃ」




「俺の日記、預かってて貰ったんだよね。高校生の頃の俺に」




「……思い出したんじゃの」




「半分正解。昔、会ったことあるって分かったんだ。それしかわからなくて。でも確実にこの場所で目黒くんと本を読んでた。知りたいんだ。あの時の事」




「待っててな」




持ってきた2冊の日記。




「あの時、捨てといてって言われたんだ。もう要らない思い出だから。家族にも高校2年間のものだけはみせたくないからって」




「なんでおいといてくれたの」




「心の中ではそう思ってないんじゃろうなと思ったからの。あの時は理由も知らなくてちょっと前に弟くんが来ての」




「え?どうして」




「亮平くんのことじゃよ。実はちょっと関わりがあって久しぶりに手紙をくれたんだ。その前に、ちょっと遊びにきての。手紙もずっと出そうと思ってて書いたけど出せてなかったものらしい。あの時なんで離れたのかわしの想像と聞いた話だけだったパズルのピースがやっと形となり完成された。理由が分かって嬉しかった」




「弟が、ここに」




「亮平くんのおじいちゃんと仲が良くての」




「そうだったんだ」




俺は日記を渡された。




「ありがと」




俺が座ってページを開く。




外は雨だった。




6月30日から、




目黒くんとの思い出が沢山書かれていた。




12月30日

"雪が降っていた。
目黒とたつさんの図書館に行った帰り
手を繋いだ。
今日しかないと思って告白。
付き合えるなんて思ってなかったけど
まさかのOK。
好きな人に気持ちを伝えられて嬉しかった"




2月16日

"目黒のお誕生日。
自分の誕生日よりもワクワクしてるのが
不思議なところ。
バレンタインをあげなかったら
少し拗ねたけど
今日に力をいれてるからしょうがない(笑)
目黒お誕生日おめでとう"




読んでくほど、知らない記憶なのに




目黒くんが言った言葉とか




苦しい思いさせてきたんだって思うと




涙が流れた。




日記に書いてあった、




アメジストのネックレス。




俺がプレゼントしたもので




トパーズのネックレスを目黒くんから貰った。




全て読み終える時、




これまでの空白が少し埋まり




日記を閉じると




ドアが開いた。




「どうして」




そこに居たのは




目黒くんだった。

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