─────────休み明けの日。
朝、教室に向かうと、同じクラスのエペルから挨拶をされた後、突然変なことを聞かれた。
取り敢えずエペルの話に耳を傾けるが、どうやら連休初日に色々あったらしい。
エースやデュースに話していない出来事もあるそうだ。オンボロ寮の前で女性と男性の幽霊を見たとか……。
それも、学校にいるようなゴーストではなく、人の形をした、血塗れの。
席に座った後、エペルが「あ、そうだ」と何かを思い出したように小さく声を上げ、先程までの不安気な表情とは打って変わって明るい表情を浮かべた。
あなた……魔力のない普通の人間。
問題児だらけで、プライドの高い個性の濃い面々が揃うこの学校ではまだ控えめな生徒であり、“例外的存在”。
魔力を持たないから馬鹿にする連中もいるが、人柄は間違いなく学校内で“良い奴”の部類に入る。実力主義のナイトレイブンカレッジじゃ、その人柄の良さを逆に利用されかねないが……。
まぁ、人柄が良いと言っても、あなたはたまに意地が悪かったり、掴み所がなかったりする不思議な奴でもある。
エペルはエースの提案であなたの誕生日にサプライズをすることになったらしく、俺も一緒にどうだ?と誘うけれど……
あなたの誕生日が何時なのか、どういったサプライズをするのかを教えて貰ったり、話したりし、あなたには秘密でお願いされる。サプライズだし本人に言うつもりなどないが、一つ困ったことがある。
ホームルームの後に授業が始まり、集中するためプレゼントについては休憩時間にでも考えることにした。
一瞬あなたは体が細いから筋トレ道具でもやろうかと考えるも、鍛えられたあなたの姿を想像し、微妙な気持ちになる。
アイツには申し訳ないが……ムキムキなあなたは何か……うん。違う気がする。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。