第3話

第一章 丁度いい暇つぶし
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2022/01/07 22:00
* * *

こんのすけに“異世界”へ向かう様言われた日から数ヶ月。
僕が派遣されたのは“ツイステッドワンダーランド”と呼ばれる異世界の、賢者の島にある名門魔法士養成学校ナイトレイブンカレッジ。
ナイトレイブンカレッジは男子校で、優秀だがプライドの高い問題児が多く居り、黒い馬車のお迎えが来た魔法士の素質がある者しか入れない。そう。本来ならば魔力を持つ者しか入れない学校なのだが、僕は魔力が無いただの人間……と言う事になっている。
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(いやはや、人間視点から見れば過去へ翔ぶ装置を製造する技術があるだけでも衝撃的だと言うのに異世界にまで翔ぶとは……。向かう人物が“僕だから”異世界に来れたというのもあるけれどね)
異世界に翔ぶのは決して簡単では無い。
現代社会を生きる人間からすれば、異世界云々はそれ以前の問題だろう。
しかし、突然現れた謎多き歴史修正主義者に時の番人検非違使。裏国家且つ秘密主義だらけである時の政府の未知なる高度な技術。物を励起する審神者や人外審神者。神格ある刀の付喪神。妖、呪い、怪異に神域……。
僕達審神者の留まる場所は、一般的に空想の世界であるとされる非現実的な出来事が起きる場所でもある。異世界に翔んだ例は実は既に起きていたとも耳にしている。※グラブルコラボ。
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(政府やこんのすけ達がその時のデータを元に調べに調べ尽くし、その時と似た状況と条件の元、今回の様な案を思い付いたらしいのだが……よくやるよ。僕を選んだのは異世界へ行く成功率を上げるためもあるのだろうけど、“僕と同族”の中では僕が比較的頼みやすかったのだろうな)
他にも僕が選ばれた理由は何個かある。
まず、僕は“死なない”。魔法と近しい能力も使える。要するに、普通の人間の審神者では無い。
だからといって、ただの人外審神者という訳でもない。今みたいに普通の人のフリをしている時、僕の力は抑えられるので、闇の鏡ですら感じ取るのは難しいだろう。
そして、僕には“繋”の役目がある。
一度異世界へ行く事で、特別任務中は僕の“足跡”を濃く残し、目的が達成するまでは元の世界と異世界の“道”を繋げる。だから刀剣男士達よりも先に異世界へ行かなければいけないし、より長く滞在する必要が有るのだ。
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(にしても、よく思いつきましたよねぇ。非現実的とされた不可思議に慣れすぎたせいか、政府側にも想像力豊かな方が少しずつ増えているようで。誰かに言われた案という可能性も否めませんが)
僕が選ばれた理由とは別に、ツイステッドワンダーランドに派遣された理由は単純明快。
何時現れるか分からない時間遡行軍の行動を察知し、目的を探り、阻止する為。
先程話した異世界へ行けた前例でも、異世界先で時間遡行軍が現れたと耳にしている。
元はと言えば、前例で異世界へ行けたのは時間遡行軍も少なからず関係していたのだとか。
※詳しくはYouTubeグラブル 刀剣乱舞で検索
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(今回も似たような感じでしょうね。
ただ、前例を調べ尽くした甲斐あって、時空の歪とは異なる渦を事前に感知し、時間遡行軍の現れる先を特定出来たのが幸いです。調べるにも、策を練るにも、様々な場面で苦労したそうですが)
場所が場所なので多少手間のかかる作業はあったものの、結局やる事は同じだ。
だが、足跡を色濃く残し、時間遡行軍の目的を探って倒すだけならば賢者の島の街にでも留まればいい。
ナイトレイブンカレッジに通う必要は無い。
けれど、ナイトレイブンカレッジ生の性質と魔法士の卵として選ばれた素質が時間遡行軍に利用される可能性がある。
こんのすけ経由で政府側にそう報告したら「なら学生として様子見するのが一番間近で観察出来て違和感ないと思います」と返され、遠回しに潜入してこいと言われたのだ。だから僕は不本意ながら学生をしている。
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(時間遡行軍が現れた時は何時も通り刀剣男士を喚び、戦いますが……生徒が利用された場合斬る訳にも行きませんし、その時は僕が対処すべきでしょうかね)
そんな事を考えながら学校の外にあるストリートを歩いていると、後ろから「あなたはよー」と肩を軽く叩かれる。
挨拶して来たのは同級生同クラスのエース・トラッポラとデュース・スペード。
因みに僕の足元には、実はさっきから居たけど眠気でとぼとぼ歩いてる同じオンボロ寮のグリムがいる。
言っておくが、グリムは人ではなくモンスターだ。
ひょんなことから一緒に行動している。
デュース・スペード
デュース・スペード
あなた。おはよう。
グリムは眠たそうだな
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
つーか俺も寝みー
グリム
グリム
ちゃんと寝ても眠いもんは眠いんだゾ
監督生(審神者)
監督生(審神者)
分からなくはないね
任務とはいえ、僕の正体を知っていながら僕に学生をやらせる政府も中々ではあるが、今となっては時間遡行軍の出方を待つのに丁度良い暇つぶしだ。
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(面倒であるのに変わりないが)

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