第4話

第二章 新鮮
1,306
2022/01/07 22:21
───────ホームルーム終了後は授業が始まり、黒板に書かれた内容を黙々とノートに書き写す。
現在学校内に変わった様子はなく、まだ平和な日々を過ごせているが……僕がグリムと“入学式”の日、ナイトレイブンカレッジに現れてからこの数ヶ月間、学校内では生徒達との絡みや色んな事件が起きた。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
あなた、悪い。ペン貸してくんね?インク切れそう
後ろからエースに小声で話しかけられ、「良いよ」と笑顔でペンを貸す。 
僕の学校生活を刀剣男士達が見たらどう思うだろうか。
携帯型時空転移装置と僕の“霊力”で人工的に時空の歪をつくりだし、“専用ゲート”を開いてツイステッドワンダーランドと元の世界の自分の本丸へ直に繋げる。
そうすれば、帰りたい時に何処にいても本丸へ帰ることが出来る。
うちの刀達には事情も話してあるし、オンボロ寮からちょくちょく本丸へ帰ってはいるけど、最近は留守がちなので退屈させているかもしれない。
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(こっちに居る間はオンボロ寮でグリムと寝泊まりしてるけど、名前の通りオンボロだし、歌仙や光忠辺りが見たら卒倒するな)
本丸へ帰る際は形代で僕似の式神を召喚し、上手く誤魔化している。だが、何日も持つ訳では無いので時間が限られてくる。僕が中々本丸へ帰れないのはそれが理由でもある。
デュース・スペード
デュース・スペード
次は錬金術の授業だな。
あなたは変わらずグリムとペアだろ?
デュースに言われて「そうだね」と短く答える。
錬金術は何処か刀装作りと似てる気がしているので、自分でやってみると刀装作りに励む刀剣男士達の気持ちが何となく分かる。
監督生(審神者)
監督生(審神者)
(錬金術はどっちかと言えば化学実験みたいなものでもあるけど、たまに変なのが出来るから面白いよねぇ)
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
あなた、ごめん。赤ペン貸して
監督生(審神者)
監督生(審神者)
エース、君のペンのインク寿命来まくりじゃないか。新しいペン生を与えてやりなよ
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
何だペン生って。初めて聞いたわ
グリム
グリム
ふなぁ〜オレ様は転生なんかしてないんだゾ……ぐぅ
デュース・スペード
デュース・スペード
オイ、あなた。グリムが寝たぞ
監督生(審神者)
監督生(審神者)
デュース、代わりに起こして
デュース・スペード
デュース・スペード
何で僕なんだ
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
お前等、そろそろトレイン先生に睨まれんぞ
監督生(審神者)
監督生(審神者)
グリムは放置しようか
他愛もない魔法士の卵とはいえ、人間である若者とのやり取り。僕にとっては新鮮だ。
こういうのも悪くない。

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