〜あなたside〜
私達の出会いは、
ハイタッチ会だった。
普通の、
リスナーと推しの関係。
何の変わりもない、
ただ、
応援する為に、
貴方に思いを伝える為に、
私はハイタッチ会に参加した。
まさか
それが
始まりになるなんて、
思ってもいなかった。
…………………………
…数十分後…
推しが迫ってきている。
もうすぐだ。
ハイタッチの時間はとても短い。
だから私は、
短くて、
でも、
一瞬で思いが伝わるような
言葉を
るぅとくんに伝えるって決めてるの。
"大好きです"。
〜るぅとside〜
ーーーーーーー
「大好き」
「愛してる」
よく、
リスナーさんが
言ってくれる言葉。
ありがたい、
とってもありがたい。
でも…
リスナーの皆さんから言われるから、
誰が特別とか、
特別な言葉とか、
そういう認識が薄まっているようなきがする。
そんなときだったよね、
僕達が出会ったのは。
そして僕達はハイタッチをする。
ハイタッチをする瞬間…
そう、彼女が呟いたとき…
僕達の手が触れ合った。
僕の思考回路が、
役立たずになってしまった。
おかしいな…
どうしてだろ…。
彼女はそう僕に微笑みかけて、
流れるように去って言った。
微笑んだ彼女の顔は、
とても綺麗だった…。
忘れることなどできない、
彼女の笑顔。
そして、
彼女に言われた言葉が、
僕の頭の中に
こだまする。
"大好きです、るぅとくん。"
言われ慣れた言葉。
でも、
言われ慣れてない言葉…。
こんな感覚、
初めて…。
彼女と触れ合った
僕の右手が、
じわじわと熱い。
ーーーーーpart2へーーーーーーーーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。