僕は急いで空き家に向かった。
昨日のあの男の子は誰なのか。
本当に、
生きているのか_
やっぱりいた。
昨日の男の子。
だんだん怖くなっていく男の子の声と
だんだん怯えていく僕。
そこで僕は解決法を考える。
よし。うまくいった。
そう思ったのも、つかの間。
言うことを聞かない男の子。
僕は諦めた。
この子、本当に…
あつやくんかもしれない。
僕と男の子はこの日、鬼ごっこをした。
それは昨日と同じように楽しく、
やがて、帰る時間になる。
また何か言われる前に帰ろう。
って思ったのに。
情緒不安定なのか?
にしてはこの年齢的には怖すぎる。
一生懸命に説得させたつもりだった。
やはり疑ってしまった。
この子が生きてるかどうか。
だってそうでしょ?
男の子の体が今日、
ずっと透けてるんだから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。