逃げろ。
早く。
早くっ…!
わかってよお母さん。
僕は助手席から後ろを見た瞬間、絶望感に包まれた。
そこには、
変わり果てた男の子の姿。
ユラ〜リユラ〜リと左右に揺れながら歩いてくる。
かなり車は早いのに
だんだん近寄ってくる。
助けて。
男の子の口パクでなんとなく言ってることがわかった。
途端に車が止まった。
しまった。
赤信号だ。
早く変われ!!
すぐ真後ろに男の子が来ている。
その時、青に変わった信号。
急げ!急げ!!
車の上から ドン!! という音がした。
上に男の子が乗っているのだろうか…?
僕は怖すぎて過呼吸になっている。
もう無理だ…
暗いから気づかなかったけど、向かいから来た車の光で分かった。
車の窓には
真っ赤な血がベッタリと張り付いている。
運転席を見れば、
母が気絶している。
元を正せばこれは僕のせいだ。
僕があつやくんと遊ばなければ…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。