第5話

よんわ
99
2020/01/27 10:49



ピルルルルッ












僕の携帯の電話が鳴る。










今は夜中の12時。


こんな時間に電話してくるやつなんているのか?












僕は少し寝ぼけながら電話に出た。

自分
…はい。
男の子
男の子
なんでだよ。


僕の寝ぼけていた目は一瞬で冷める。











昨日の男の子…

男の子
男の子
遅刻しないでって言ったじゃん。
自分
え、でも今は12時だけど…
男の子
男の子
当然だろ
男の子
男の子
「明日遊ぼうね」って言ったんだから
男の子
男の子
昨日からすればもう『明日』なんだよ
自分
いや、さすがにね…
男の子
男の子
文句言ってる暇があったら早くきてくれない?
自分
…分かったよ


ここは従うしかないだろう。











親にバレないように家を出た僕は、
急いで空き家に向かう。







ーーーーーーーーーーー





当然空き家の前に男の子はいた。


男の子
男の子
遅刻しないでよ
自分
…ごめん
男の子
男の子
まあいいや
男の子
男の子
遊ぼう



ハッと僕は気づいてしまった。













僕はそろそろ洗脳されているんではないかと。











とりあえず確かめなくてはいけない。

自分
ね、ねえ、君?
男の子
男の子
なに


この子は生きているのかどうか。

自分
君、昨日は「親がいない」って言ってたけど、
自分
どういうこと?


男の子は少し考えていたが、すぐに答えてくれた。

男の子
男の子
…親は死んだ
自分
…え…?
男の子
男の子
事故だよ。犯人は捕まる前に自殺した。
自分
…そう。



そうだったのか。




自分
もうひとつ…聞いていい?
男の子
男の子
・・・
自分
君の名前は?


さすがに名前くらいは教えてもらわないと。

男の子
男の子
…知りたいの?
自分
・・・
男の子
男の子
じゃあ教えてあげるね
男の子
男の子
事が始まったのは10年前。
男の子
男の子
僕が今この体の年齢の時。


…え…?












男の子の体は小学一年生くらいだ。








10年前…?

男の子
男の子
僕には親がいたよ。
男の子
男の子
とっても優しい親
男の子
男の子
友達がいない僕にとってはとっても大事な親だった。
男の子
男の子
…でもね、
男の子
男の子
交通事故で死んだ
男の子
男の子
僕が家で留守番してる時に。
男の子
男の子
悔しくて
男の子
男の子
学校ではいじめられるようになって
男の子
男の子
僕は…


その時。










キキーッ!








僕の目にうつったのは、
母の車。



お母さん
お母さん
なにしてるの⁉︎こんな時間に!
お母さん
お母さん
早く帰るわよ!!


怒鳴り続ける母。








ちょっとまってよ。
自分
待ってお母さん。
自分
この男の子と話さなきゃいけない事があるんだよ。
お母さん
お母さん
男の子…?


母は目を細めて男の子のいる場所を見つめた。

お母さん
お母さん
…男の子なんていないけど?
自分
え…
お母さん
お母さん
冗談はいいから早く乗りなさい!

母にはこの子が見えてないとでもいうのか?












やっぱりこの子は…

男の子
男の子
ねえ君
僕が車に乗る直前、男の子が話しかけてきた。
自分
男の子
男の子
さいごにいいこと教えてあげるね。


次の瞬間。僕はゾッとする。
男の子
男の子
僕の名前は…
男の子
男の子
あつやだよ

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