ピルルルルッ
僕の携帯の電話が鳴る。
今は夜中の12時。
こんな時間に電話してくるやつなんているのか?
僕は少し寝ぼけながら電話に出た。
僕の寝ぼけていた目は一瞬で冷める。
昨日の男の子…
ここは従うしかないだろう。
親にバレないように家を出た僕は、
急いで空き家に向かう。
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当然空き家の前に男の子はいた。
ハッと僕は気づいてしまった。
僕はそろそろ洗脳されているんではないかと。
とりあえず確かめなくてはいけない。
この子は生きているのかどうか。
男の子は少し考えていたが、すぐに答えてくれた。
そうだったのか。
さすがに名前くらいは教えてもらわないと。
…え…?
男の子の体は小学一年生くらいだ。
10年前…?
その時。
キキーッ!
僕の目にうつったのは、
母の車。
怒鳴り続ける母。
ちょっとまってよ。
母は目を細めて男の子のいる場所を見つめた。
母にはこの子が見えてないとでもいうのか?
やっぱりこの子は…
僕が車に乗る直前、男の子が話しかけてきた。
次の瞬間。僕はゾッとする。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。