「ふー、なんとか逃げきれたね!」
お兄ちゃんから何とか逃げきれて安堵する。
私達は校舎の3階の桜の木が見える渡り廊下まで来ていた。
「ねえ、すぎにゃん…いや、杉浦豊くん。」
「なんですか」
「好きだよ。ずっと前から。これからも。」
「…」
「やった!これで16回目だ!
さ!クラス発表見に行こうか!」
再び私はすぎにゃんの腕をガッシリ掴み走り出す。途中、廊下で走るなと先生から注意を受けた。
…すぎにゃんの手、ごつくなった?
それに身長も一年前と比べてずいぶん高くなったような…
すぎにゃんも男の子だからな〜
今更だけどしみじみとすぎにゃんの成長を感じた。
さっきすぎにゃんは私が好きって言ったら、
困った顔をした。
正直ちょっとだけ傷ついた。
でも、落ち込んでなんかいられない!
クラス一緒になってるといいな!
クラス発表にギリギリ間に合った私達は掲示されているクラスの中から急いで自分の名前を探す。
私は、2-2だ。
すぎにゃんは…2-2、同じクラスだ!
やった!!
担任は面白いと評判の男の先生で、クラスのメンバーもいい人ばっかり!
良い1年になりそうだな!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。