( ⛄️しげのんりゅせ⛄️ さんリク )
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夢主ちゃん Side
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‘‘あなた、小瀧大丈夫なん?”
そう流星からLINEが来た時刻から
半日近くが経っていた
大学の講義やらサークルが重なって
たまたま忙しくて
既読を付けてから焦ってる。
‘‘なんかあったん?”
流星に即レスを返すと、またすぐに返信がきて
‘‘ 望、体育の授業中に倒れたって聞いたで ”
倒れた……?
望が?
一瞬頭が真っ白…。
すぐ部屋を出て、望のアパートまでチャリを走らせる。
信号待ちでケータイにコールをかけるもは出ず。
赤いテールランプが続く道を見つめる。
え、まさか病院運ばれたとか?
流星に聞いても、そこまではわからんって…
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部屋に着いて、合鍵で玄関ドアを開けると
いつものスニーカーと、部屋から微かに漏れる光。
よかった…
部屋にはおるみたいや…。
「……のん?」
ベッドを覗くと、苦しそうに眠る のん の姿。
思わず手を握り、抱きすくめる。
首元に顔を埋めると、すぐに体温の熱さに気づく。
「…ほんまに、何しとんねん、」
ぽつりと呟いた言葉に、のん が眉をしかめた。
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おでこに貼ってあった冷えピタを取り替えようと
キッチンに行けば
そこには、皿につがれた半分のお粥と風邪薬の箱。
これ、ぜんぶ自分でやったん?
「……のん?、なあ、のん、」
可哀想だとは思ったけど
これは流石にやりすぎや。
「……ん、……あなた、?」
「…おん。大丈夫なん?」
「…………なんで?」
大丈夫なん?聞いて第一声目がそれって。
「… のん 大丈夫なんかを聞いてん」
「………、ん」
私が怒ってるわかったんか、すぐに大人しくなって
小さく首を縦に振るのん。
小動物みたいでかわいい..と思ってしまった自分を殴りたい。
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「…なんでなんも連絡せんかったん?」
「………」
「…なあ、のん?」
「………」
倒れてから部屋に帰るんやって
どうせ一人で帰って来たわけやないんやろうし
あ、もしかして
お粥と風邪薬はそいつがやったん?
「…ここまでどうやって帰ってきたん?」
「…………友だちが…」
「送ってくれた?」
「……うん」
「だれ?」
「………濵田先輩..、」
「じゃああっちの粥と風邪薬は?誰がしたん?」
「…それは……自分で、」
なんでや。
やっぱわけ分からんわ。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!