あなたside
『ごめんね、はじめくん。』
『愛してました。』
いや、
『今でもずっと、
愛してます。』
だからこそ、
別れたいんだ。
優しい貴方のことだから。
私が◯◯◯しまったら。
きっと貴方はーーーーーーーーー
いつもどおりの朝。
貴方に最後のトーストを焼く。
からになったパンの袋を捨て、
貴方を起こしに行く。
これで、最後だから。
なんて、言い訳をして、
寝ている貴方の頬にーーー
『あ、』
起きちゃった…
パチッ
「ん…、あなたか。」
「おはよ、」ニコッ
『…おはよ、』ニコ
最後のおはよう。
だめだな、私。
未練だらけだ。
『んッ…』
「寝込み襲うなよ、笑」
『おきてたんだ』
「いや、顔近かったし。」
「照れてるときの癖、
あなたさ、首なでるし」
『よく知ってるね』
そんなこと、言わないでよ。
私の、自分でも
気づいてないような、
普通なら気づかないであろう癖。
いやでも
長い時間近くにいたことを
感じさせられる。
拝啓
九井一様
私は貴方に別れを
告げられるでしょうか。
ーーーーーーーーー
次回、非日常
九井side
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!