ウォヌとの秘密を2週間ほど続けた辺りだった。当たり前になりつつあったこの関係性に亀裂が入る。
午前五時くらいだっただろうか、その日はいつもより遅くウォヌの部屋に入った。
僕はあの出来事からウォヌに特別な感情を抱き出していた。ほかのメンバーとの会話を聞くと嫉妬心が湧いて、僕と話してくれると喜びに溢れた。この感情はきっと恋だろう。
そんな諸事情もあり、ウォヌには勝手に独占欲が働いた。独り占めしたい。目の前にいるこの人を。ひとつ屋根の下で僕以外のヒョンにならない保証もないのに。1度考え出すと止まらないのが僕の癖だ。
いつもより激しめにキスをする。苦しいと僕の肩を叩くのも無視して続けた。それが不味かった。ギィ…と音を立てドアが開けられる。ハッとして目を向けると驚いた顔をして、ドギョムが立っていた。
「…な…にしてんの 二人とも」
顔中の血が引くのがわかった。見られたくない場面を、見られたくない人に。これからの活動に支障をきたすかも。しかも僕の都合で。
『キス。女とじゃないから問題ないだろ。』
そういう事?ヒョン そんな軽いことだったの?少なくとも僕は…
ドギョムか去った後静かにウォヌに問う。
「ウォヌヒョン…さっきの本心なの?」
『え? あぁ さっきのね』
「早く。」
ウォヌへの気持ちがあるだけにまくし立て口調になってしまう。
『さぁ? どうだろうね』
その一言で僕の中の何かが切れた。
「僕は…ウォヌヒョンにとってその程度の人間なんですか? ここまでしといてただのメンバーだって言えるんですか?僕は…俺はあんたの事が好きなんですよ!」
言うだけ言って部屋を飛び出す。自分の部屋に飛び入り、同室のウジに心配されるがそんなの聞こえなかった。ウォヌが追いかけてくる気配はない。それにもまた苛立つ。
ー俺はこんなに好きなのにー
その日メンバーに不思議がられたのは言うまでもない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。