第3話

3話
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2021/06/06 01:00

あいつと出会ってから、もう長いはずだ。
異変解決だって今まで一緒にしてきたし、殆ど神社で一緒に過ごしている。泊まるなんて当たり前だし、晩御飯の当番だって決めている。殆ど同棲だ。外の世界では、同棲してるなら恋人同士と言えるのではないのか。

そもそもあいつと私は友達では無いのだ。向こうがどう思ってるのかは知らないが、一応返事は貰えたのだから。「いいわよ。」って。それだけだけど、少し顔を赤らめて。
なあ、霊夢。本当に私たちは───。








「霊夢、いるか?」

いつもと何も変わらない神社。境内の隅に目をやると、そこには紅い落ち葉を箒で集めている、同じく紅い彼女がいた。彼女は腰をあげると振り返る。

「いるわよ。あっそうそう、今日はあんたがおゆはん担当ね。」

私は背中に背負った籠を見せつけながら返事をする。

「知ってるさ。ほれ、秋刀魚取ってきた。」

「魚釣りしたの?」

少し怪訝そうに顔をしかめる彼女は霊夢。博麗の巫女であり、一応私の恋人だ。

「河童のとこでな。天狗とすれ違いそうになったのはなかなかのスリルだったぜ。」

霊夢は溜息をつきながら、呆れを混じえた声で言う。

「はー。妖怪の山なんてよく入れたわね。」

「ははーん。つまり私は博麗の巫女さえ入れない山に入ったってことだな。」

「私だって入れるわよ!」

「今度勝負するか?」

「めんどくさいからいいわよ。」

「あ、逃げた。」

「逃げたわけじゃないっての!」

そういうと霊夢は箒を鳥居に立て掛けてから縁側に向かう。私もそれについて行く。

「その秋刀魚、台所において置いて。」

「言われなくともそうするぜ。」

私は自分の箒を置いてから、籠を背負ったまま台所へ向かう。ガラガラと大きな音を立てて、古いガラス張りの引き戸が開いた。手を洗ってから、氷と水を大きな桶に入れて、籠から秋刀魚を取り出して放り込む。また手を洗って、秋刀魚の下に入れていた栗を笊に並べた。

「ふう、、、。今日は栗ご飯にするか。殻をむくのは骨が折れるが…。フランにでも頼むかな。」

そんなことを独り言で言いながら縁側に戻ると、霊夢はぼーっと空を見ていた。

「おい、霊夢?」

「……あ?ああ何?」

「お前最近どうしたんだ?いつもぽけーっとしてるじゃないか。」

「あー。なんかねー、、。」

「……あのさ、霊夢。」

「何よ?」

「……一応…聞くんだけどさ。」

「……。」

霊夢は何も答えずに、私の目を覗き込む。私はその黒い瞳から目を逸らした。

「あー、、。私達は、その。付き合ってるんだよ……な?」

「何言ってるのよ。あんたから言ったじゃないの。」

「そうだっ、、けどっ、、。」

なんというか、今までと何も変わらないじゃないか。私だって、泊まった時期待してるのに…何も無いじゃないか。いつもそうだ。自分だけさっさと寝やがって…。

「っ、、いい加減にっ!」

私は無理やり霊夢の唇に自分の唇を重ねた。
目をつぶって、恥ずかしいのをめちゃくちゃ堪えながら。

「ん?!!」

霊夢の顔はわからなかったけど、驚いてるのが分かる。時間が止まったようにさえ感じた。

「……っ、、ぷはっ。。」

「!!」

「っ、お前はもうちょっと私の事考えろよっ!」

「あっ、、あのねえっ?!魔理沙…!」

「いつも泊まってるのに何もしてくれないじゃないか!不安になるに決まってるだろっ!」

「……っ、、。」

「私のこと、ほんとに好きなのかよ……。」

「ぁ…ご、ごめんなさい魔理沙。その、私はちゃんと魔理沙のこと好きよ?」

「ならっ、」

「だって!魔理沙が可愛すぎて大事にしたくてっ!」

「はっ?!そ、そんな嘘ついたって騙されないからな!」

「嘘じゃないわよ!」

「ならなんでさっさと寝るんだよ!」

「寝ないと襲っちゃうじゃないの!!魔理沙は、その……大事にしたいのっ!なのにあんたいっつも誘惑して!」

「そんなことしてないだろーが!」

「してるわよ!なんで寝巻きちゃんと紐結ばないの?!胸元が見えそうなのがほんとに目に毒なんだから!」

「そんなこと考えてたのかよ?!」

「当たり前でしょ?!私だって魔理沙のことっ…。」

「ぅ…。」

ひとしきり言い終わったあと、私は恥ずかしすぎて死にそうだった。霊夢の方も顔を隠している。

「くっ…言うつもり無かったのに…。」

「そっちのせいだろ、、。」

「ていうか、、魔理沙もそういうことしたかったのね……。」

「当たり前だろ、、。恋人なんだから、そういうの期待するだろ、、。」

「はあ、、、。大事にしすぎたかしら、、。我慢させたわね。」

「全くだぜ。」

その時、霊夢が私の頬を手で包み込んだ。

「ふえ?」

「魔理沙、今日……抱くから。」

「……っ???!!!」

「覚悟しときなさい。」

「……はい…。」

その夜魔理沙と霊夢がどうなったかはご想像におまかせする。

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