そらくんの匂い。
大きな手、身体。
バッ!!
そうだった、私、そらくんの家に泊まらせてもらってた。
急いで飛び起きると、そらくんは隣でまだ寝ていた。
可愛い寝顔をしばらく見ていると、そらくんが目を覚ました。
宙「んんん、ひまりぃ?」
ひまり「そらくん、おはようございます」
私が正座をすると、そらくんはへらっと笑って私の手を握る。
宙「おはよぉ」
ひまり「うん」
宙「ふわぁ、」
ひまり「もしかして、そらくんって朝苦手?」
宙「何があ?」
ひまり「ふふ、可愛い」
そらくんの頭をクシャッとすると、そらくんは嬉しそうにする。
犬みたい。
ひまり「ご飯、食べようね」
宙「うぅん」
ひまり「昨日は、ほんと、その、ありがとう」
宙「いいよ、元気なってよかった」
すっかり目が覚めた宙くんが私の頭を撫でる。
ひまり「ほんと、ごめんね」
宙「いいよいいよ、俺は昨日のディープキスが良すぎて」
そらくんはにやにやする。
ひまり「にやにやすんなアホ!」
宙「ガチで溶けてたぞ、ひまり」
ひまり「バカにすんな」
そらくんは笑いながらバカにしてくる。
ひまり「もおおお」
私も笑い出す。
安達先輩は自分だけで話をしに行こう。
私ひとりでもきっと大丈夫。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!