私は昔からモテてた。
お兄ちゃん達もカッコよくて、私の家族は皆モテるほうだと思う。
今まで、たくさんの男の子達が好きという気持ちを伝えてくれた。
顔を赤くして、でもまっすぐ目を見て伝えてくれて、嬉しかった。
でも、私はどんなにカッコイイ人でも、優しい人でも振るんだ。
いつもいつも ごめんなさい って。
その度に、男の子は辛そうな、泣きそうな顔になる。
その顔を見る度に私も辛くなる。
じゃあ、付き合えばいいじゃんって思うよね。
私さ、
"人を愛することが分からないの"
好きとか、愛してるとか。
その感情が無いの。わかんないの。
好きってなに?恋ってなに?愛ってなに?
わかんなくてわかんなくて、
たくさん考えた。
これでも考えたつもりだけど、やっぱりわからないの。
そんな自分が悲しくなる。
今さ、あんまり笑わないし、愛想ないってよく言われるけど、昔はよく笑う子だったんだよ。
中1の冬から、笑うことが怖くなった。
私が友達だと思ってた子から
お前の笑顔が嫌いだ
男子にいっつもヘラヘラ笑って、好きにさせといて
告白されたら振るとか、頭どうかしてるよ
って言われたんだ。
その子が好きな男の子が私のことを好きだったみたい。
それから、笑うのは辞めようって思った。
私が笑わなかったらきっと誰も好きにならないって
でも現実は違かった。
私が話さなくても、笑わなくても、好きになってくれる子はたくさんいた。
これが、私の笑わない理由と、恋をしない理由。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!