窓から朝日と涼しい風が入り込む
カーテンはゆらゆらゆれて
私は目を覚ます
目の前には可愛らしい大きなクマのぬいぐるみ
ピンク色の壁
見覚えのない景色が視界に広がる
お母さん...
私を散々虐待してきたあの恐ろしい生き物...
とはまた違う、優しくて愛のある声だった。
そして私は気がついた。
ここは違う世界なのだということに。
とりあえず今はどうすることも出来ないから、適当に応えておこう
そして私は目の前の制服に目を移す
着替えてみると、サイズはピッタリだ。
下に降りると今までの私の生活とははるかに違う、豪華な食卓が並んでいた。
今までコップ1杯の水が私の朝ごはんだったけれど、私の目の前にはトースト、サラダ、スープ...彩りのある食べ物だらけだ。
ピーンポーン
友達...
どんな人だろうか。
私の胸に期待が走る。
私の前には1人、元気な女の子が立っていた。
私も女の子に合わせるように同じテンションであいさつをする。
しばらく歩くと大きな建物が覗いて見えた。
ひーちゃん...?
私の隣にいるのがその子か。
そして私はあなたなんだ。
えっと...1番左からりんりん、ちよ、ハナちゃん。よし、覚えた。
そのまま私達はとあるクラスの前で立ち止まる。そして中に入った。
色んな人とあいさつをかわし席に着く。チャイムが鳴ったから、きっと授業が始まるのだろう。
授業の内容は大体分かる。
何故かって?私は本当は大人だから。
そんなこんなで下校時間になり、家に帰る。
おかえりなんて言われたことがなかった。感動で視界がぼやけるのを何とか隠して朝居た部屋に戻る。
夕食を食べたら私は部屋に戻った。
バタンとベッドに倒れるとフワッと気持ちの良い感触。
余程疲れていたのか、私は深い眠りについた...。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。