五月に入ってからも僕は彼女…ららと話をした。
ららは日に日に包帯も取れて行って、
顔がよく見えるようになった。
綺麗な青い目。
黒く真っ直ぐな長い髪の毛は
まるでららの性格のようだった。
疑問に思った。
素朴な質問だったと思う。
だけれど君は悲しそうな顔をして
細々と呟いた。
そりゃそうだろ。
心の中で自分の発言を否定する。
友達なんか…僕に来るわけないじゃないか。
先ほどのららの発言を細々と言ったのを訂正しよう。
今の僕の方が細々く、弱々しい。
元気そうに見えない僕を見据えてか、
ららが僕の頬に手を当てた。
それからはなんでも話せるようになった。
相変わらず、待ち合わせは庭だけれど、
とても楽しい時間になった。
…時間は永遠とは限らないけれど…
ららに会うたび暖かい気持ちになるのはなんでかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!