第4話

五月
331
2018/07/16 12:05
五月に入ってからも僕は彼女…ららと話をした。
ららは日に日に包帯も取れて行って、
顔がよく見えるようになった。
綺麗な青い目。
黒く真っ直ぐな長い髪の毛は
まるでららの性格のようだった。
からた
…ららは友達は来ないの?
疑問に思った。
素朴な質問だったと思う。
だけれど君は悲しそうな顔をして
らら
…用事で…来れないんだ。
細々と呟いた。
からた
そっか…なっなんかごめんね。
ほら…僕も友達が来ないからさ…
そりゃそうだろ。
心の中で自分の発言を否定する。
友達なんか…僕に来るわけないじゃないか。
からた
ほんと…ごめん…
先ほどのららの発言を細々と言ったのを訂正しよう。
今の僕の方が細々く、弱々しい。
元気そうに見えない僕を見据えてか、
ららが僕の頬に手を当てた。
らら
…男の子でしょう?
そんなの。どーってことないよ。
大丈夫。私がいるじゃん。
それからはなんでも話せるようになった。
相変わらず、待ち合わせは庭だけれど、
とても楽しい時間になった。
…時間は永遠とは限らないけれど…
ららに会うたび暖かい気持ちになるのはなんでかな。

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