あなた『こんな私で良ければ…はい』
駿佑『あなたさんしか有り得へんから』
すると道枝くんは私の手を繋いで歩いた。
あなた『…どこ行くの?』
駿佑『ここじゃバレたらあかんから』
そう言って道枝くんは人差し指を自分の唇に近づけた。
あなた『…っ』
そんな仕草にもドキドキしちゃうのは
それくらい道枝くんに夢中だってこと。
あなた『…え…家族が…』
道枝くんの家とか
家族がいるはず。
駿佑『今日だけ、皆帰ってこん』
そう言って優しく微笑む。
駿佑『…はぁ…ほんま幸せや』
そう言って道枝くんは私を抱きしめた。
駿佑『…』
するとだんだん顔が近づいてくる。
あなた『…だめ』
駿佑『…なんで』
あなた『まだ高校生でしょ…』
すると道枝くんは私の髪を手でとかした。
駿佑『子供扱いしたらあかんで?』
そう言って顔を近づける。
これからも私は
ずっと“あなたに夢中”なのかもね。
ーendー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。