大樹side
朝、事務所に行くと黎弥が曲がり角で立ち尽くしてた。
何をしてるのか聞いても答えてくれない。
黙って悲しそうに下を向くだけだった。
角からGENEさんの楽屋前の廊下を除くと
そこにはあなたといっちゃんがいた。
一緒にいるのはいつものことだし、
黎弥だって分かってるはず。
その廊下を通って右に曲がるとファンタの楽屋。
1人でも行けたけど黎弥をこのままにはしておけなくて、
黎弥の手をとって楽屋に向かった。
あなたといっちゃんとすれ違う時、
もちろん挨拶されるわけで
黎弥が居ることに気づいたあなたは気にしたのか
言うのをやめて「後で」といった。
絶対何かあったと思った。
仕事までには時間はある。
俺はあなたの手を掴んでGENEさんの楽屋に入った
たまたま早く来ていた涼太さんにも驚かれた
そりゃそうだ。
俺が腕を掴んだくらいでここまで怒るなんて
絶対何かあった。
それだけは確信できた
あなたは悲しそうに言ってた。
悲しいのは黎弥だけじゃないみたい。
何が何だか分からなくてもう一度聞き返す
明るくて優しいって凄いことだと思う、
人を笑顔にさせることができる
自分の笑顔を振りまける。
素敵なこと。
それをだめだなんて。
いつもなら笑ってるはずのあなたは
涙をこらえて呟いた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。