第5話

第4話
2,049
2020/04/02 10:05
奏汰
奏汰
そう言えば、今日までが
期限の数学の課題おわった?
紗南
紗南
うん、終わったよ。
何問か難しいのあったけど...笑
嬉しいはずなのに、ずっと苦しい。
奏汰
奏汰
でも、瀧野さん数学得意だよね。
羨ましいな笑
井上くんは気を遣ってくれているのか。
会話が途切れないよう、話題を振ってくれる。
紗南
紗南
研究系の大学志望だっけ?
奏汰
奏汰
うん。僕、エンジニアに興味あって。
まずは基礎から学ぼうかなって
こうやって大学や、将来について話していると。
高校生活も、残りわずかなんだなと思い知らされる。
紗南
紗南
そっか...凄いなあ...
周りの子達は、ちゃんと将来を見据えていて。
その為に何をするのがベストかまで、分かっている。
奏汰
奏汰
瀧野さんは?もう決まってるの?
だからこそ、言葉に詰まった。
紗南
紗南
えっ、と.......志望大学はあるんだけど...
自分に合ってるか、まだ正直分からなくて
何度も、オープンキャンパスに行って。
色んな話を聞いて、学生さん達の雰囲気を見て。
紗南
紗南
ここだ!...とは思ったの。
でも、なんかスッキリしなくて
学ぶ自分も想像できたのに。
何か違うと心が言っていて。
紗南
紗南
もう少し、色んな所に
行ってみようと思ってるんだ
奏汰
奏汰
.....そっか。良い大学、見つかると良いね
紗南
紗南
ありがとう笑
だから、時間が許す限り。
色んな大学を訪れる事に決めた。
今週末にも2件、説明会に参加する予定がある。
奏汰
奏汰
ーあ。もう学校着いた。早いね
余計な事を考えないように歩いて居たせいか、
もう学校は目の前。
友達の目もあるから、ここからは別々に登校した方が
良いのでは、という考えも頭をよぎったけれど。
奏汰
奏汰
色々話せて良かった。
教室、行こうか
私は、ずるいから。
紗南
紗南
うん、行こう。
やっぱり、切り出さない。
紗南
紗南
(いっそ、嫌いになりたいよ)
この気持ちが消し去られてしまえば楽なのに。
笑顔を貼り付けて、教室に入り。
席に座ろうとすると。
友達
紗南。ちょっと来て
友達に手招きされて、鞄を机の脇に掛けてから向かう。
紗南
紗南
ーどうしたの?
友達
いや。朝一緒に来てたからさ。
何か進展あったのかなって...
言いずらそうに、でもハッキリと尋ねて来る彼女に
苦笑した。
紗南
紗南
ー無いよ笑
紗南
紗南
井上くんは彼女さん居るんだから。
私と進展あったら、それこそ問題でしょ?
笑っていれば、大丈夫だと思ったのに。
友達
.....でも...私、辛そうな紗南は見たくない
友達
さっきだって、井上くんと話してる時。
笑顔がぎこちなかったし...それに
どうやら、バレて居たようで。
紗南
紗南
...私は大丈夫。
心配してくれて、ありがとうね
それでも、何度目か分からない無理矢理の笑顔で。
その先を封じ込めた。

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