約1年、一緒に居たから分かる。
集合時間ギリギリに戻って来た
親友の表情が、明るくなって居る事に。
帰りのバスに揺られながら、自分の横で微笑む彼女。
その相手だって、聞かずとも分かって。
これからが大事だと言う時期に、悩み苦しんだ親友を。
私が救えなかった心を。
助けてくれてありがとう、と。
だけど、ほんの少し。
彼が、羨ましくもあったけど。
親友には、つい強がってしまう性分だ。
迫るセンター試験、大学受験。
これから、どんどん忙しくなって。
しばらくは、休日の娯楽ともお別れなのだろう。
学年で集まって出かけるのも、きっと次は同窓会。
バスの窓に映る自分は、
何かに揺らいで居るようにも見える。
どんなに辛くても頑張れて。
苦手な事にも向き合い続ける
彼女の親友として、恥じないように。
いつも真っ直ぐでは居られないし、とても弱いけど。
まだまだ自分の物語を紡いで行く私達に、翼があったなら。
どんなに傷だらけになっても、
折れない翼を私自身が手に入れられたなら。
その時こそ、きっと親友に追い付ける時。
辛い事を幾度も乗り越えた先で、きっと笑ってくれて居る。
今の私のままでは、きっと。
辿り着くまでに何かに吹き飛ばされてしまう気がするが。
間違った道を選んで。
何処にも行けなくなってしまう前に。
自分を信じられるだけの、強さを。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。