第17話

第16話
1,415
2020/05/06 15:00
1年生クラスの廊下を、自然な足取りで進んで行く親友。
紗南
紗南
ねぇ怜菜...戻ろうよ.....すっごい見られてる...
下級生の視線がとにかく痛くて。
怜菜
怜菜
何言ってるの!ここまで来たら行くよ!
紗南
紗南
えぇぇ.....
つい、重心を後ろに掛けた歩き方になってしまう。
一つ一つクラスを見て、黄瀬くんの姿を探すけれど。
怜菜
怜菜
...居ない、次で最後なのに
これが、なかなか見つけられない。
紗南
紗南
そうしたらD組に居るんじゃないかな笑
何故か焦っている怜菜を宥めながら、D組を覗くと。
友達と楽しそうに談笑する、黄瀬くんの姿があった。
紗南
紗南
.........居た
怜菜
怜菜
え!どの子!?
私の言葉を聞いた途端、興奮気味に探し出す怜菜。
紗南
紗南
...静かに.....!!
3人で話してる男の子だよ。ほら、今笑った子
3年生が1年生の廊下に居るだけでも目立つのだから、
これ以上は勘弁して欲しい。
怜菜
怜菜
あぁー、あの子か。
あんまり積極的そうには見えないなぁ...
その後聞こえた何やら気になる呟きも。
紗南
紗南
...何の話?
怜菜
怜菜
んー、こっちの話!ww
上手く躱されてしまった。
怜菜
怜菜
じゃあ、呼ぶよ?
早く呼び出しをしたい怜菜が
息を勢い良く吸い込むのを、慌てて止める。
紗南
紗南
え、待って待って待って
どれだけの大声で呼ぼうとしているのだろうか。恐ろしい。
怜菜
怜菜
何でよー、早くしないと休み時間終わるよ?
しばらくの間。
紗南
紗南
そうだけど!心の準備って物が...
怜菜
怜菜
まどろっこしい、そんなの待ってられない!
3年生らしからぬ醜い痴話喧嘩を繰り広げていると。
紗南
紗南
声が大きいって.....!
色々面倒になったらしい怜菜が強行突破で。
怜菜
怜菜
あー、もう!分かった!
D組に向かって叫んだ。
怜菜
怜菜
黄瀬くん居ますかーっ!!
仮にも生徒会長なのに、信頼が危ぶまれてしまう。
先生に何か言われたら...と新たな悩み事が増えて。
紗南
紗南
あぁぁぁぁ、、何やってるの...!
声にならない悲鳴を上げている、ちょうどその頃。
友達
...今、黄瀬呼ばれなかった?
友達
え、瓏登が?
.....気のせいじゃね?
紗南
紗南
(あ、目が合った)
教室内に居た黄瀬くんが、私達に気づいたようだった。
瓏登
瓏登
.....知ってる人が居る。行って来る
立ち上がった彼を見ながら、どう説明しようと考える。
紗南
紗南
(何も考えてないのに.....!!)
友達
え、マジ?知り合いなんだww
友達
生徒会長じゃん、何でここに居るんだろ
黄瀬くんの友達の視線が凄いし、怜奈は頼りに出来ない。
瓏登
瓏登
先輩、どうしました?
時間を取らせている事を申し訳なく思いつつ。
紗南
紗南
待ってね.....今、考えてるから...
紗南
紗南
(やっぱりロクな事にならない.....)
1人、頭を抱えた。

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