第35話

第34話
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2021/01/30 07:25
運命のくじ引きタイム。
校外学習の楽しさの半分を担うと言っても 過言では無い、
バス席と周りのメンバー。
それが、10分足らずで決まってしまうのだ。
紗南
紗南
.........あばばばばば...
緊張しない方が可笑しい。
怜菜
怜菜
ちょっwww
紗南さーん、しっかりして下さいよwww
...いや、その可笑しい人が私の横に居る。
紗南
紗南
だ、だだだだって...
全く喋った事ない人と隣になったら...!
怜菜
怜菜
うーん.....それは...
ドンマイ、としか言い様が無いよね
いつも通り、リラックスした表情で髪を弄び。
紗南
紗南
冷たい.....
私に対して、甘さの欠片も無い励ましを入れる彼女。
怜菜
怜菜
ほら、紗南の順番くるよ
こんな時ですら自然体で居られるなんて、羨ましい限りだ。
紗南
紗南
うう、行って来ます.........
周りに睨まれない程度の速度で。
怜菜
怜菜
頑張れー
ダラダラと、クジ箱を持つ実行委員の元に向かう。
ニコニコと笑って、私を待って居てくれたクラスメイト。
クラスメイト
瀧野さん、顔色悪いけど大丈夫......?
そっと、体調も気遣ってくれる辺り。
紗南
紗南
えっ、あ、うん!
大丈夫、大丈夫、ありがとう
私は周りは本当に優しい人が多いと思う。
クラスメイト
そっか、じゃあ...クジ引いてくれるかな?
紗南
紗南
うん、ごめんね時間取らせちゃって...
短い会話を済ませた後。
クラスメイト
大丈夫だよw
腕を入れる用に作られた穴に手を入れて、
適当に紙を選んで取り出す。
引いたのは、5番だった。
紗南
紗南
(...とうとう引いてしまった.....)
このクラスの人数が30人だから、
15分の1の確率で井上くんと隣の席になる。
チラリ、と黒板を見ると。
紗南
紗南
(これで井上くんの隣が決まってたら
安心できたのに...)
まだ、彼の隣は埋まって居なかった。
.......避けたがって居る自分が居る。
紗南
紗南
(どうしよう、怖い)
彼と関わるのも、話し掛けられるのも。
何となく俯いてしまいながら席に戻ろうとした私。
紗南
紗南
(えっ、待って...?)
急にハッとなって。もう一度、黒板を振り返る。
紗南
紗南
...................嘘
彼の名前の横に振られた番号、それは。
クラスメイト
ん?どうしたの?
私の隣の席になる事を意味する番号。
紗南
紗南
あっ、いや...!何でも無いよ!
つまり、『5番』だった。
伶奈の元に戻った私は、力なく結果を呟く。
紗南
紗南
...................だった
自分の引きの悪さを、嘆きながら。
怜菜
怜菜
え?何?
紗南
紗南
井上くん、の、隣...になっちゃった
聞き返されて、もう一度言うのも憂鬱で。
怜菜
怜菜
えっ、え!?
誰とも目を合わせる事なく、机に突っ伏した。

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