第40話

第39話
986
2020/10/05 14:33
結論で言うと。
瓏登
瓏登
.......無理やり連れ回しちゃって、ごめんなさい
『デート』は、とても楽しくて。
紗南
紗南
___え?楽しかったよ!謝らないで笑
色々と疲労が溜まった心を、少し軽くしてくれた。
それでも、まだ。上手く笑えない。
瓏登
瓏登
...良かったです笑
そろそろ、戻りましょうか。
集合時間も迫って来ましたし...
この優しさに甘え続ける罪悪感がある癖に。
紗南
紗南
......あ、うん。戻ろうか笑
彼から貰う束の間の幸せに、溺れて居たい。
揺れ続ける感情に、心が締め付けられたから。
紗南
紗南
(...............いっそ)
いっそ、この曖昧に繋がれた手を。
躊躇いなく振り解いてくれたら楽なのに。
紗南
紗南
(突き放さないで...くれるんだね)
 黄瀬くんのような心が清らかな人の傍に居たい。
瓏登
瓏登
.......?先輩、人多くなって来たから、
ボーッとしてると迷子になっちゃいますよ?
私のような無責任な人と一緒に居て欲しくない。
紗南
紗南
っ、あ!ごめんね、それは困るな...笑
好きになりたい。
瓏登
瓏登
今はぐれたら僕も凄く不安です笑
.......失いたくない。
紗南
紗南
 .................ありがとう
彼の手を、もう一度。
瓏登
瓏登
...........
ぎゅっと握ると、柔らかく握り返されてしまう。
残酷な程に優しいから、甘えたくなってしまうのに。
瓏登
瓏登
..._紗南先輩
指定場所に足を進めながら、振り向かずに。
紗南
紗南
...........ん?
彼は、私の事を呼んだ。
始めて名前呼びにされた日が、懐かしく思えて。
瓏登
瓏登
...............僕...
彼が何か言う、その前に。縋る様に呟く。
紗南
紗南
.........黄瀬くんなら、愛してくれる?
瓏登
瓏登
...........っえ?
意地悪な質問だと言うのは、分かって居た。
瓏登
瓏登
先輩が好きな人は、僕じゃないでしょう?
少し苦しそうな声で零された言葉は、図星で。
曇り切った彼の表情に後悔の念が押し寄せる。
紗南
紗南
...........ごめんね
静かに俯いて謝罪すれば、彼は黙って首を振ってくれた。
紗南
紗南
話、途中だったよね。続き.........
言いかけられた言葉は。
瓏登
瓏登
...大丈夫です。今は、やめときます
聞きそびれてしまったのだけど。
紗南
紗南
_そう。分かった
でも、心の何処かで。
その言葉を見透かして居る自分も居た。
紗南
紗南
(私から離れて行って欲しい...のかな)
私のような馬鹿で愚かな人間を。
どうか、好きにならないでと思ったから。
瓏登
瓏登
あ、皆さん集まってますね。
先輩、1年生のとこ
行っちゃっても大丈夫ですか?
彼に抱く感情の全てを、素直に"恋"と呼べたなら。
紗南
紗南
...もちろん!
一緒に回ってくれて、ありがとうね笑
こんなに悩む事も、無かったのだろうけど。

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