改めて思う。
私は、自分の心理状況を人に分かりやすく見せ過ぎだと。
話しかけられても上の空。
更に魂が抜けたような瞳をして居るから、ダメなのだ。
こんな反応をするから、余計に察されるのに。
でも、流石に言えない。
諦めた恋が叶うかも知れないのに、困ってしまったなんて。
私は、最低で単純だ。
少し優しくされた位で舞い上がって。
もしかしたら好きなのかもと思ったりして。
自分の持つ考えが正しいと言って欲しかった。
...................運命は、意地悪だ。
こんなグチャグチャな気持ちの中。
嫌な予感しかしない、1、3年生合同校外学習。
その説明兼計画発表会が、始まる。
少し顔を歪ませてしまった私とは正反対の反応をするのは。
隣に座る、親友だ。
一見クールな性格に見える彼女だが。実は、そうでも無い。
私の何倍も流行りに敏感で。
からかって、その反応を見るのが趣味らしく。
いつもその餌食になって居る。
あまり時間を置く事なく、バスの席決めのクジ引き。
先生いわく、
『コミュニケーション能力を高める目的』らしい。
教師陣の言い分に、怜奈は不満気な声を上げる。
私も、やんわりと宥めながら。
とても憂鬱な気分になって居た。
今までなら、彼の隣になれますようにと。
しつこい程、願うのに。
...............................。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。