文字を入力する手がプルプルと震える。
書いては消すを何度も繰り返し、ようやく書き上げて。
彼が遠慮しないように、お礼をしたい旨を伝えたのだが。
早速ネガティブになって居た。
スマホを机の上に置いて、ソワソワしながら返信を待つ。
気を紛らわす為、大好きな読書を始めようとした所で。
____ ♬︎
スマホがメッセージアプリからの受信を伝える。
そっとトークルームを開くと。
『定期テストが近いので、勉強を教えて欲しい』との事。
少し、拍子抜けしてしまった。
私の唯一の特技と言っても過言では無い、勉強。
教える自体は構わないのだが、『楽』なのだ。
彼の真面目な性格が出てるな、なんて1人笑って。
普段なら絶対に使わない猫のスタンプを付けて送る。
すぐに既読は付いて。
『ありがとうございます』と笑う
ハムスターのスタンプに、頬が緩んだ。
誰かと話す事に緊張しなかった事もシンプルに嬉しくて。
ホワホワとした気分で日程を組む。
今日は水曜日だから、勉強会は4日後。
いつもは、慣れない人と会う予定がある時。
憂鬱な気分になるのに。
凄くワクワクして、日曜日が待ち遠しかった。
やり取りを終えて、スマホを充電器に繋ぐ。
淡い期待を抱きながら、部屋の明かりを暗くして。
全身を包む眠気に任せ、意識をシャットアウトした。
............................。
まさか、こんなに大きな反応をされるとは思わなくて。
パチパチと目を瞬かせる。
もちろん、玲奈の言う事も一理あるのだけど。
やっぱり周りの人は気になる訳で。
声のボリュームを少し落として貰って、話を続ける。
...玲奈では無い、誰かの視線が。
鋭くなった気がした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。