第30話

紫月夜
26
2020/11/15 13:35
闇に埋(うず)もれ幾年(いくとせ)ずっと…
相生(あいおい)の松(しょう)望めばきっと…
恋路(こいじ)を駈ける…疑わず信を致す…
今結び待つ

斑雪(はだれゆき)解(ど)け色匂えど
散ると知りては…痛ましくて
嘆き…繰り返し…想ふほど…
募(つの)る其(そ)れは術(すべ)無しの
恋情(れんじょう)

暗(くら)し帳(とばり)の影に抱かれて
隠れ乍(なが)ら手を重ね告げた

「今夜だけは一刻(ひととき)の愛を…嗚呼…君だけに…」

紫の月が煌(きらめ)いて…二人溶かしていく
禁じられている事と知りても…
月光はその禁色(きんじき)さえも隠してしまうから
終夜(よもすがら)…夜が明けるまで
そう…接吻(くちづけ)を

届かない程求めてしまう…
焦燥(しょうそう)に舞う枯葉(かれは)はずっと…
恋路に積もる…
畳(たた)なわり日々を隠す盲目(もうもく)の彼方

「花の散るらむ季節が
ずっと続くのは嫌」と泣きじゃれど
夜に渦巻いた其の言葉…
叶う事は無いと知りてなお

寂し瞳の奥に隠れた
燃ゆるこゝろ(こころ)情は艶(あで)やかで

「今夜どけは一刻の愛を…嗚呼…君だけに…」
紫の月が煌めいて…恋は流れていく
禁じられている事と知りても…
月光はこの穢(けが)れでさえも隠してしまうから
終夜…夜が明けるまで
そう…接吻を

紫の月が煌めいて…二人溶かしていく
禁じられている事と知りても…
月光はその禁色さえも隠してしまうから
終夜…夜が明けるまで
そう…接吻を

今だけは…今夜だけは…
そう…接吻を
原曲→睦月始(CV鳥海浩輔様)

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