愛と家族の在り方
コネシマ視点
沢山のシロツメクサは、
ほんまにびっくりしたなぁ…。
東京観光から帰宅中の今も、
さっきの情景を思い出していた。
あんな綺麗な場所、今後俺が生きる中で見ることはないんちゃう?
想いもつまってたしな。
だから尚更綺麗なのかもしれん。
やっとること新喜劇やんか。
ゾムも飽きねぇなぁw
ロボロとトントンとさよならした後、
まぁいつもの遅刻メンツで帰路を辿った。
ほんまは帰りたくないねんけど。
ぐうぅう〜
19:00になった今、
東京で買ったつまめる程度のご飯(お菓子)しか食べとらん俺らのお腹はぺこぺこ。
うーん…お腹空いてるんやな、俺。
家に帰ったところで、
リビングでは喧嘩三昧。
できることならもう見たくない。
くだらんことで毎日言い合いばっかり。
ご飯の時も、宿題やってる時も、
1人でテレビ見よる時も…
いつも怒号が飛んでる。
それがたとえ俺に向けられた物やなくても、自然と涙が出てくるんや。
そんな安心できない家になんか…
もう微塵も帰りたいなんて思わん…。
あ、食害確定やわ。
俺、おわたw
店先にて…
まぁ、少しでも食べたいらしい、
ファミレスやったら基本安いからな。
ゾムは普通に2人前頼んでるしなw
いつも通りすぎてもはや流石とまで思ってまうわ。
タタタッ…
あいつ、食って飲んでばっかやん。
大人になったらお金に制限かからんくなるからな、怖いわぁ…。
溜め込んではないんよ。
暴力振るわれたりとかそういうのじゃないからさ。
でも、日に日に俺への愛が減ってくねん。
1人の時間が増えた。
家で何も話さない。
笑うことができない。
愛不足や。
1番近くにいる人間から、
俺は愛をもらえないんや。
友人からの愛、
先生からの愛、
俺の大好きな人達からたくさんもらってる。
でも1番必要としてる人からは、
コップ一杯にも満たない愛情。
俺はきっと…
いつもなら、
『何ゆーてんの』って言われるところを、
大先生は静かに聞いてくれた。
で、結局、
俺が『寂しい』って話題はどっかいってもうて、違う話題に切り替えられてしもた。
俺って寂しかったのかな。
疑問を抱きつつ、
話せて少しスッキリしてる、
なんともいえない
ぐちゃぐちゃ感を心に残していた。
店員さん
「ありがとうございました〜」
俺らは店の外に出た。
それにしても…
当分後な!
お前と行くと財布が涼しくなんねんw
七不思議にまでお願いをしたこと。
『両親が仲良くして欲しい』
毎日の喧嘩、怒り、
それに耐える俺はどうだったか。
長すぎて忘れてまうほど。
せやから何も思わなすぎて『寂しい』って感情を他人に気づかされてる。
コップ一杯やない。
丼ぶり皿いっぱいに愛をください。
思い出と笑顔が…
絶えない場所にしたい…。
一途な思いを折るほど、
親は俺のこと見てないわけやないやろ?
たった1人の子供や。
親とただ話すだけなんに、
変に緊張しとる。
だって手が震えとるんやもん。
家の扉を引く手が、
見てわかるほど大きく震える。
ガチャ…
シーン…
出迎えは…まぁ無いな。
普通に今までを考えたらわかることやん。
よー考えたら、
今日どこに行くかも伝えとらんかったしな。
普通に不良やんw
親に黙って関東行ったんやからw
もう一度ドアを押そうとする。
無駄な期待はせんほうがいい。
バタンッ…
捏島母
『…孝行』
子供が帰ってきて、
その態度はどうなんや?
そして黙って家を出て行こうとする。
「おかえり」もないんやな。
捏島母
『えっ…?』
捏島母
『……』
捏島父
『……』
ガチャ…バタンッ
荷物を持って家を出た。
後ろを振り返っても誰も来ない。
大先生、やっぱりわかり合うには相当な時間が必要やわ。もしかしたらまた並行世界の二の舞かもしれへんしな。
でも、言いたいことは言えた。
前は伝えることすら諦めてたから…。
これで少しでも…
本当の家族になれれば…ええなぁ…。
ピーンポーン…
いつかこうやって、
笑えなくなった時は、
みんなの『愛』で助けてくれ。
みんながいるから俺は笑ってられるんや…。
新たな『決意』と『愛』を胸に秘め…
ーーコネシマ視点ENDーー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!