彼に電話を渡すと、韓国語で何か会話をし始めた。
一通り会話が終わると、彼から電話を返されたが既に電話は切れていた。
彼は不機嫌そうに、ダウンジャケットを着始める。
ユミは彼に何を話たんだろう。不思議に思いながら私もダウンコートを羽織り、帰り支度をする。
部屋を出てから、彼の後ろを小走りで着いていったが、敷地が広くてまるで迷路の様だった。
そして、目立たない所に黒塗りの車が止まっていて、彼に促されて後部座席に乗り込んだ。
窓ガラスが黒くなっていて、タクシーには全然見えなかった。
もうこの男とも会う事無いんだし、色々詮索するのも悪いと思ってたけど、気になって聞いてみた。
名刺みたいなものを見せられ、手の上に乗せられた。
翻訳機が今は手元にないから、何を言われたか分からないけど…
あなたは日本語は分からないと思って、英語で話かけてみた。
あなたは鞄の中から、手帳に挟んでいた自分の名刺を渡す。大昔にお試しで作った個人名刺なんだけど…。
たわいもない話をしていたら、気がつけばホテル前に到着していた。
あなたは男にお礼を言って、車の外に出ると、空はすっかり陽が落ちて真っ暗になっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。