第18話

幹部と対峙
135
2019/10/13 13:14
朱雀高校 奥庭


そこは中庭とは別に作られた隠された庭。そこの存在を知ってるものは少なかった。そこは近年朱雀高校を拠点としているカラーギャング、REDのたまり場にされていた。
どこからかそんな情報を手に入れ奥庭に足を踏み入れた一般生徒は数知れず。
存在を知っても、近寄ることの出来ない場所として扱われた。
そこは、教師であっても立ち入ることは許されない。


ねぇねぇ…奥庭、言ってみない?


奥庭って…REDの隠れ家じゃない!


そうよ!あの憧れのREDの幹部たちに会えるのよ!?


…でも、あそこにはウワサが…


ウワサ?


知らないの?


あそこに一般生徒が立ち入ったら最後…もう普通の生活には戻れないって…


うそ…


…やめておこうよ…私、怖い…


そ、そうだね…
…そんなウワサが立たれている場所では、傍から見れば眉目秀麗な青年たちと、1人の女子生徒が食事を取っていた。

何を隠そう、この青年たちこそがREDの幹部たちであり、そんな青年たちの中にだった一人でいる少女が有栖川のあ。REDの姫だった。

美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
ひめ!おいしいねぇ?
そう言って弁当を片手にのあに笑いかけるのは、美空緋彩くん。

どこか小悪魔を想像させる可愛らしい顔立ちだが、今はそんなことは感じさせない、天使のようだった。
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
うん!おいしいね、緋彩くん!
菊池 凪(キクチ ナギ)
菊池 凪(キクチ ナギ)
あーー!ゆーちゃんそれ美味しそー!ちょーだいっ!
緋彩くんの真横で正面の青年におかずを催促するのは菊池凪(きくち なぎ)くん。

少し毛先を遊ばせたような髪型は寝癖のようにも見える。素直で年上も年下も気にしないようなまさに純粋な少年のような子。
波多野 優斗(ハタノ ユウト)
波多野 優斗(ハタノ ユウト)
……はい。
そんな凪くんにおかずを差し出たのは波多野優斗(はたの ゆうと)くん。

アジア系のハーフで、褐色肌がまた色っぽい。寡黙で謎、というのが正直な印象。少し怖いけど、メンバーとの接し方を見ると根は優しいのだと思う。
秋葉 淩(アキハ リョウ)
秋葉 淩(アキハ リョウ)
じゃあ椿、俺にそれよこせ!
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
何がじゃあなのか分からないんだけど。
その様子を見ていた、彼らと反対側に座る見るからにガラの悪そうな男が、隣の爽やかな男にそう言うも、ばっさり切られる。

秋羽淩(あきは りょう)くん。見た目通り、幹部の中では1番喧嘩っぱやい。

そしてその隣の爽やかな方は高嶺椿(たかみね つばき)くん。

幹部の中では参謀のような存在で、情報処理を担当している。
一条 睡蓮(イチジョウ  スイレン)
一条 睡蓮(イチジョウ スイレン)
………
そんな騒がしい中、黙々と一人でお弁当を食べている切れ長の目に血のような赤い髪色のかれこそが、REDのトップ。ボスの一条睡蓮(いちじょう すいれん)くん。

これがいつもの光景。

だからこそ、本来いるべきでない存在が際立つ。
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
…だれかなぁ?そこにいるの。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
…何か用かな?
緋彩くんと椿くんが同じ方向を向き話しかける。それに続くようにして、ほかの幹部も一斉にそちらを見る。

…睡蓮くんを除いて。


睡蓮くんはご飯を食べるのを辞めない。気にもとめなくていいことだと判断したのだろう。
下っ端くん
下っ端くん
あ、あああ、あの!
そこには男にしては少し身長が低めで、自分で声をかけたくせにおろおろとしている1人の男子生徒がいた。
秋葉 淩(アキハ リョウ)
秋葉 淩(アキハ リョウ)
…あぁ?いま昼飯食べてんのがみてわかんねぇのか!?
おどおどとした態度が気に入らなかったのか、淩くんはその少年を睨みながら低い声で怒鳴る。

少年はさらに怯え、冷や汗をかいていた。
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
ちょっと…大きい声出さないでよ…可哀想じゃん。
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
…それで、君は?
下っ端くん
下っ端くん
あ、あの!れ、れREDに入らせてもらっている、1年2組、鈴木悠真とい、言います!
少年に助け舟を出した緋彩くんの質問に、少年はしどろもどろになりながら答える。
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
…あ!屋上出会った子かな?
ふと思い出し、少年を指さす。
下っ端くん
下っ端くん
あ、はい!覚えてて下さり光栄です!
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
…あぁ、あの時の…
私に続き椿くんも思い出す。
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
久しぶり!悠真くんって言うんだね!
下っ端くん
下っ端くん
あっ…はい!
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
仲良くしよーね!
秋葉 淩(アキハ リョウ)
秋葉 淩(アキハ リョウ)
おいっ!1年だかなんだか知らねーが、こいつは俺たちの姫だ!ぶん殴るぞ?
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
り、淩くん!そんなこと言わないの!
今にも殴りかかりそうな淩くんを慌てて止め、席に座らせる。
波多野 優斗(ハタノ ユウト)
波多野 優斗(ハタノ ユウト)
…話がズレ始めてるぞ。
菊池 凪(キクチ ナギ)
菊池 凪(キクチ ナギ)
君は今日何しに来たの?
どうすればいいのかわからずまたおろおろとし始めた目の前の少年に、今度は優斗くんと凪くんが助け舟を出す。
下っ端くん
下っ端くん
あっ…はい。その、あの、じ、実は!て、提案…といいますか…
秋葉 淩(アキハ リョウ)
秋葉 淩(アキハ リョウ)
さっさと言え!まだろっこしい!!!
下っ端くん
下っ端くん
す、すすすすいません!!あ、あの!REDに新しく姫を入れたいのですが!!
うじうじとした態度が嫌いな淩くんに促され、少年は大きな声でそう言い切った。

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