第9話

有栖川のあ side
115
2019/10/08 13:34
REDのメンバー
REDのメンバー
姫、おはようございます
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
おはようございますっ。もぅ、姫なんて言わなくていいのに
すれ違うredのメンバーであろう男が挨拶をしてくるのを可愛く返しながら廊下を歩く。

あぁ、今日もいい朝。
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
美空 緋彩(ミソラ ヒイロ)
姫、おはよ!
階段を上る途中、肩をトントンと叩き、にこにこと笑いながら私の顔を覗いてきたのは、REDの幹部のひとり。

美空緋彩(みそら ひいろくん)。

幹部の中でも特に仲が良く、いつもニコニコとしながら話しかけてくる
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
おはよう。緋彩くん
それをふんわりととした笑顔で返す。

なぜ、redのメンバーや幹部が私に挨拶してくるのか。

それはついこの間、私がREDの姫になったから。

高校に入る前からREDのことは知っていた。

ギャングと言われれば、厳ついイメージしか持たないだろう。でも、REDは違った。
漫画のようにメンバーのほとんどはイケメンで、全女子生徒のあこがれの的だった。

そして、そんな彼らと親しく話せ、しかも守ってもらえる、姫という存在があるというのも有名な話だった。

その時から私は決めていた。REDのほとんどのメンバーと幹部のいる朱雀高校に入り、姫になると。

そのために高校に入ってからredの幹部との自作自演の出会いを作り、可愛くて何も知らなくて正義感が強くて放っておけない、そんな女子を演じた。

その結果、私は姫になることが出来た。自分でも驚くほどスムーズにいった。
REDの幹部は扱いが難しいと聞いていたが、それほどでもなかったらしい。

redは噂通りメンバーはイケメンが多かったし、幹部ともなると別格のかっこよさだった

私は毎日彼らと普通に喋り、昼食を取り、放課後を共に過ごす権利を勝ち取ったのだ。

その分他の女子の嫉妬と羨望は激しいものだが、そんなものは怖いどころか憐れで滑稽でちっとも怖くない。

だって、REDのみんなが助けてくれるから♪

だから私は毎日が楽しくて仕方ない。

自分が中心に回ってる、この学校が。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


有栖川さん、ちょっといい?
チャイムがなって数分後、そう言って数人の女子生徒が私の机を囲うようにして立っていた。
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
何か用ですか…?
彼女達の表情からして大体何の用かはわかるが、あえてわからないという風に可愛くきょとんとしたように首を傾げてみた。


ちょっとついてきて欲しいんだけど
その仕草にイラッとしたのか、一番前に立っていた女子生徒が私の腕を掴み、無理やり立ち上がらせる。
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
きゃあっ
そこで可愛く悲鳴をあげた。

これであっという間に純新無垢なお姫様に嫉妬した雌豚どもが私をいじめようとしているシチュエーションの出来上がり。

そのまま私は教室の外に連れ出され、廊下を歩く。

廊下でredの誰かと会えば助けてもらえると思ったが、誰とも会わない。

うーん…困ったなぁ。
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
有栖川 のあ(アリスガワ ノア)
あの…どこに行くつもりなんですか?
いちよう聞いてみる


いいからついてきなさい
予想通りの返答。

でも進む方向的に、ここから先で人目につかない場所といえば1校舎屋上かな…

…フフ

一瞬にやりと笑みが零れる。あぁ、危ない。バレてしまう。

それでも笑みを抑えきれない。




だってこの人達は知らない。


昼休み、第二校舎屋上にはかなりの確率で彼が寝ていることを────

プリ小説オーディオドラマ