第24話

失敗した…!
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2019/10/18 12:50
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
────!?
ここには私しかいなかったはず!?

そこにかけられた声の主へ振り返ると、そこにいたのは…
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
急に笑うから、壊れちゃったのかと思った。
REDの幹部が1人、高嶺椿。

なぜまだ屋上にいたのか、そしてなぜ私は気づかなかったのか。確かに私はそこにいた幹部の全員が立ち去るのを見送った。いや、それよりも、今の笑い声を聞こえた!?という疑問や恥ずかしさが私を支配する。

しかし私は冷静を取り戻し、そんなことはどうでもいいことに気づく。

そう、聞かれてしまったのだ。あの笑い声を。

私の素を。

彼の口ぶりからすれば全部聞かれたのだろう。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
………高嶺さんっ!まだいらしていたんですね!いらしたなら、おっしゃればいいのに!意地悪ですね♡
かすかな希望を胸に、私の中の最高の口説き文句に最高の笑みを浮かべる。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
前は俺の事椿さんって呼ばないっけ?
私のかすかな希望はニコリと打ち砕かれる
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
役がブレブレ。そんなんじゃ女優になれないよ?笑
嫌味なヤツめ…

それよりも、前…?前って…


あ、二校舎屋上の時の?

確かにあの時私は椿さんと言った。だって名前知らなかったし、そう言うしかなかったから。

まさか覚えられているなんて…

こうなったら1人で演技しても可笑しいだけだ。

私は一定に吊り上げていた口角を戻した。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
なぜここにいるのでしょうか
一応敬語は使う。

冷静に対応しろ。

ワンチャンいける。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
普段ここREDのたまり場だし、何か文句でも?
ニコリと笑うが、また貼り付けたような笑顔。何を考えているか読めない。

いったいどのくらいバレたのか探ることも出来ない。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
それは失礼しました
ならばとりあえずここから離れようとペントハウスのドアまで歩きドアノブを掴もうとするが、その前に立ち塞がれる。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
…どいてくれませんか?
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
なんで逃げようとするの?
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
あなた達のトップに二度と姿を現すなと言われたので
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
俺は構わないよ。別に
私が構う。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
ねぇ…?露草センパイ?
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
な、なんで知ってん…
高嶺椿はニヤリと笑う。
こいつっ…ハメやがった…!

さっき自分で名乗ったじゃないかっ!下っ端くんも私のことを露草って呼んでるし!

しまった…とぼければ良かった。敬語も取れた。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
ねぇ。REDの今の状況、知ってるでしょ?
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
…なんのことかさっぱり。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
姫のこと
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
はて?私は何も。
せめてもの悪あがき。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
「私っ、今の姫なんかより、絶対いいと思うんですよね!」
イラァ…!
それは私の真似か?高い声を出して気色悪い。私の捨て身の渾身の演技の真似か!?

正直かなりイラッとしたがここですっとぼけなければ間違いなく事は悪い方向へ転がると直感したわたしはしらを切る
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
まぁ今まではREDに大きな害はないからほっといてたけどさ
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
………
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
凪や淩がなついちゃってさ、いざと言うとき守んないと行けなくなったんだよね。それに、なにより自分たちの場所を汚される感じがして、嫌なんだよね。
…こいつ下っ端くんと同じで自分の都合の悪いこと聞こえないタイプだな。

露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
…なんの事だか
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
その点、君なら割り切れるでしょ?
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
は?
何言ってんだこいつ!!



…ふー…ふー…落ち着け。落ち着け自分。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
そんなにめんどくさいなら、姫を辞めてもらえばいいじゃないですか
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
それだと今の姫に穏便に去って貰えないでしょ?
…あ、わかってきた。

つまりこいつは、姫制度が気に入らないと。

でも問題ごとにしたくないから、REDに興味のない私を入れて形式上だけの姫にしたいと。

イコール、私に全て責任をかぶれと。

なるほどなるほど。
それは…
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
……ん…
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
ん?
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
ふざけんな。クソ野郎。
調子乗るにも程がある。

ぷちん、と何かがキレる音がして我慢の限界に達した私は1歩、高嶺椿に近づくと睨みあげながらそう言った。

そんな自分勝手な都合で他人を振り回すな。

お前らは大人しくあの姫とよろしくしておけばいいんだよ!!と続けなかっただけマシだと思って欲しい。

私の豹変ぶりに思わず仰け反った高嶺椿の横を怒りのままに通り抜け、私は屋上を後にした。
バタン!と大きな音を立て、ドアが閉まる。


残されたのは今度こそ、高嶺椿ただ1人だった。

彼は多少なりともショックを受けたが、それもつかの間。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
…やっぱりそっちが本性じゃん。
と言い、口角を上げた。

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