第28話

参謀の策略
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2019/12/23 18:39
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
ごめんね。わざわざ
そんなことをちっとも思っていなさそうな笑顔でそういう高嶺 椿。

笑顔でいれば許してもらえるとか思っているんじゃないだろうか。

自分が無理やり脅して連れてきたくせに。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
本題はなんでしょうか。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
昨日は失礼なことをしたと思ってね。
チリほども思ってないだろう。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
ああでも言わなきゃ本性出さなかったでしょ?
私の気持ちを察したらしい高嶺 椿にそう言われて、ぐっと言葉につまる。

確かに、ああいう風に言われたから露見してしまったのだ。

そこで私は高嶺 椿の策略にまんまと嵌められたことに気づいた。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
…で?要件はそれだけですか?
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
昨日のことと一緒だよ。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
今の姫が面倒。それは本当のことだよ。知ってると思うけど、媚びてんのバレバレ。第一清純を狙いすぎて逆に分かりやすい。
いきなり辛辣な言葉が来た。

てっきり気づいていないものばかりだと思っていたが、REDのメンバー内だけでなく幹部でも気づいているひとは気づいているんだな。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
でも君が昨日見た通り、睡蓮は女見る目ないし、凪は直ぐに信じちゃうし、淩はもう姫にメロメロだし、上手いことうちらのメンバーが手懐けられててどうしようもないんだよね
はぁ、と息を吐く姿はまるで本当に姫を厄介に思っているようだった。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
…でも前、屋上で会った時は…
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
あれさ、多分俺があそこにいたの知っててわざと来たんだと思うんだよね。だったら気づいちゃったら無視してる訳にもいかないでしょ?
出来るだけ関わらないようにはしてたんだけどね、と髪を掻きむしりながらそう続ける。

そっか、あの時の違和感はやはり当たっていたんだ。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
だから、君に姫になって欲しいんだ。もちろん、責任もって僕は君を守るし…
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
お断りします
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
最後まで聞いてよ。言うと思ったけど
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
私じゃなくてもいい事っぽいので。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
姫になったことで態度が大きくなったり変な気を持たれると困るんだ。学校中でその条件に当てはまる子なんて、ほとんどいないでしょ?
どんだけ自意識過剰なんだこいつ。

確かにほとんどの女子は姿を見るだけでキャーキャー騒ぎ、騒がない子も憧れのような視線を送っているだろうが、それにしてもすごい自信だ。

いや、周りの環境がこいつをこんなやつにしてしまったんだろう。

そう考えれば可哀想に…
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
それに、並大抵のルックスじゃ妬まれやすいだろうしね。その点君なら平気だろう。
前言撤回。こいつは根っからのクズだ。

自分の顔がたまたま良かったからってそんなにハッキリと言うことではないだろう。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
それ、私にとっては、なりたくもない姫になってわざわざ危険に晒される可能性を上げるというデメリットしかないですよね?
このままなら私はただの一般生徒。だが姫になった途端、他のグループから狙われる可能性だって出てくるだろう。

REDが守ってくれると言ったって、姫にならなければ元々そんな危険な目にあうことだってないはずなのだ。

忘れてはならない。こいつらは不良の中でも野蛮な、ギャングなのだ。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
うーん、そうだね。でも、今彼の他の幹部からの印象は、だいぶ損なわれてるよ?
彼、下っ端くんのことだろう。
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
露草 桔梗(ツユクサ キキョウ)
…彼が勝手にやったことですから。
むしろ幹部に会っただけマシだと思って欲しい。
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
…ふぅん。じゃあ君は姫になる気はないってことね
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
高嶺 椿(タカミネ ツバキ)
まぁ俺が諦めても変わらないと思うけどね
少しの沈黙後、最後にそれだけ言って、ニヤリと悪い笑みを浮かべると、高嶺 椿はそこから去った。
言葉の意味を理解するのは、そのあとすぐのことだった。

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