暫く経つとガチャ、と電話が出た。
めちゃくちゃ不機嫌な声が聞こえる。
あーー、絶対こうなるって分かってたのに。
なんで私、こいつに電話かけたんだろう。
鼻水を啜って嗚咽する声は
悟にも聞こえていたらしい。
プツッと電話を切る。
……私が悪い。
全部、全部全部全部私が悪いんだよ。
メンタルがいくら鋼でも流石に耐えられなかった。
…………何が悩みで……?
海智が女の子とキスしてたのも腹が立つ
悲しいし嫌だ。
………でも1番今泣いてる理由ってなんだろう。
馬鹿だね。私が悪いのに。
泣きたいのは悟の方に決まってる。
そう思って悟の連絡先を消そうとした。
何か嫌なことがあったら
根元から消す性格を直したい。
ケータイのパスワードを入れた時、
インターホンが鳴った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!