---あなたside---
この頃、あゆむからの視線が痛い。
いつ、いじめてやろうかと考えているんだろうか…
そうだとしたら、この私の最高の学校生活は壊れてしまうんだろうな。
そうだとしたら、皆は、
助けてくれるのかな…?
な訳ないか。
誰も私を助けてくれる人なんていないんだから。
毎日、ジェルの話で笑い合う、
そんな、
日常は、
急に、
壊れた。
急にあゆむが話しかけてきた。
とまどって見つめたあゆむと目は「断ったら、またいじめるぞ」
そう言いたげにするどかった。
皆が何も言えなくなる。
なんで?
なんで、付き合おうなんて…
もしかして、皆から私を遠ざけていじめるため?
やだ。
やだよ。
沈黙を破ったのはジェルだった。
へらへら笑いながらジェルくんは言う。
…ありがとう…
さとみくんが見つめてくれる。
皆も、見つめてくれる。
とっても優しい目だった。
あぁ、
この人たちなら大丈夫だ。
ペコッと下げた顔をあげるのが怖くて、ずっと床ばかり見つめていたら、
そう、あゆむが言うのが聞こえた。
おそるおそる顔をあげると、もうあゆむはいなかった。
その代わり、皆の笑顔があった。
ぴょんぴょんとびはねながら笑う莉犬と
ニコッと笑うさとみと
ピースをしながら笑っているころんと
ニヤニヤ笑うジェルと
安心したように笑っているるぅとくんと
うんうんとうなずきながら笑っているなーくんと
涙を浮かべながら笑っているまおが
皆がいれば、大丈夫だと、心のそこから思った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。