---あなたside---
ざわざわ
ガラガラッ
教室の扉が開いて…
その人が入ってくる。
黒板の前にだるそうに立つその人は…
昔の
いじめっこだった。
---中学1年生---
差し出されたお弁当箱の中にはそこら辺に生えている雑草や、土、ごみまで入っていた。
無理やり口を開けさせられ、お弁当箱の中身を流し込まれる。
私は、必死の思いで飲み込んだ。
口の中は土と雑草と生臭い味でいっぱいだった。
周りからは笑い声と、スマホのシャッター音。
私は、気持ち悪さと恥ずかしさ、苦しさで泣きそうになっていた。
私は、こぼれそうな涙を必死にこらえた。
バンッと乱暴に置かれた教科書はボロボロになっていた。
ページをめくると大量の「死ね」「消えろ」の文字。
良いことなんてしてもらってないのに、なんで、私は、「ありがとう」なんて言っているんだろう。
…いや、わかってる。
遠くの方でまおが苦しそうにこっちを見ている。
大丈夫だよ、助けなくていいから、まおまでいじめられちゃうよ。
私が小さく首を振るとまおは、諦めたように下をむく。
いつまでこれが続くんだろう…?
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!