---あなたside---
中学のとき、散々いじめてきたあいつが、いた。
もう、顔なんて見たくないと思ってたのに。
なんでこうなっちゃうのかな…?
私はまた、いじめられるの…?
黒板の前に立っているあゆむはキョロキョロと教室内を見回す。
…そして、私と目があった。
まおが手を伸ばして私の手を掴む。
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皆は知らないんだよね。いじめのこと。
クラス違ったし、それにあいつらはクラスの人以外にはわからないように態度を変えていたから。
だから、動揺しないようにしないと。
チラッとあゆむの方を見ると、あっちも私のことを見ていたらしく目があってしまった。その目付きは中学のときと変わっていなかった。
…私の嫌いな目
…私の怖い目
もうやだ…助けて…
ギュッ
私に抱きついてきたのは莉犬だった。
少し、期待してしまった。私の不安に気づいてくれたのかと。
…でも、そうじゃなくても…安心した。
なんか、この皆と一緒なら乗り越えられそうな気がした。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!