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今日は亜嵐さんの24歳の誕生日
今リハが終わって、
皆がステージに集まってくれてる
急いでケーキを取って
ゆっくりと皆さんの後ろにケーキを運ぶ
最初に気付いたのは佐野さんで
亜嵐さんが
ん?
って後ろを振り向くと
サプライズは成功して
解散する時
亜嵐さんの声に被さるように
リキさんが話しかけてきて
名残惜しいけど
その場を立ち去る
思わず背筋が伸びるようなお店
リキさんも
行動がスマートだったけど
亜嵐さんとは違うように見えて
やっぱ亜嵐さんって凄いな。
って改めて感動して
亜嵐さんに対する感情が
そう思わせてるのかもしれないけど……
個室に入って
椅子に座ると
強制的にカクテルになって
少し戸惑ってたら
”りんごジュース好きそうです”
って亜嵐さんの声が頭の中に響いて
りんごジュース。
って言いそうになったけど
今更言えなくて
飲んでみると
大人。って感じの味がして
あの時のレモンサワーよりも
もっともっとすごい…
急にお酒が回って
まだ意識はあるけど
これ以上飲みたくなくて
次のお酒を飲まされないように
すごく酔っ払ってるふりをすると
急にリキさんが
真顔になる
じゃあ教えてあげる
って言って
私の隣に座ってくる
そしたら
急にリキさんの指が私の髪に触れる
すごい怖くて、鳥肌が立ってしょうがない
気持ち悪さに酔いは一気に覚めて
その言葉の後、
一気にリキさんの顔が近付いて
唇に何かが触れる、
触れたものが何か認識するまで時間は掛からなかった
………どうして、笑えるの
龍友さんが言ってた
”この状況危ないんですからね?”
の意味が今やっと分かって
どうしよう…最悪……
泣きそうになって
財布から急いで五千円札を出して
机の上に乱暴に置いてから
荷物を適当に取って
体全部が震えてるのを感じて
お店を出た
〈亜嵐side〉
今は俺の誕生日会を居酒屋でしてる
本当はあなたさんも居るはずだったのに
リキさんと二人でご飯らしくて
誘えなかった
俺、今日誕生日なのに。
全然楽しくなくて、逆に落ち込んでて
って隼から励まされた時だった
俺の携帯が振動する
おめでとう電話かな
って思いながら画面を見たら
”あなた”って表示されてて
皆に電話って伝えて
個室の外で電話に出る
あれ、なんかおかしい。
電話の向こうがやけに静かだし
あなたさんの声が少し震えてる
大丈夫だろ。
って思いつつ聞いてみると
「助けてください」
ってしっかり聞こえたその言葉は
たしかに震えてて、
あなたさんが、泣いてる
リキってやつどこまで連れて行ったんだよ、、
心臓がバクバクして、
考える前に体が動いた
メンバー皆に返事すらできないほど
俺の心には余裕が無くて
ここらへんで公園があるといえば、、
分かった、あそこだ。
もしリキさんが
あとから追いかけてたらやばいし
あなた、待ってて。
すぐ行くから。
守るのは、、俺だから
〈貴方side〉
ずっと電話を繋いでくれている亜嵐さん
電話の向こうからは
走ってる音と息の音
あっ、、
って声が電話の向こうからと
前の方から聞こえてきて
前を向くとそこには息が上がった亜嵐さんが居た
亜嵐さんを見たら安心しちゃって
また涙が溢れてくる
そんな言葉の後
視界が真っ暗になって
あぁ、今亜嵐さんにハグされてるんだ。
って
ハグしてる時も
亜嵐さんは少し肩で息をしてて
体が離れて
見上げると汗がすごい亜嵐さん
電話したらすぐに来てくれて
助けてくれて、安心させてくれて
もう………
私は亜嵐さんに溺れてしまう……
〈亜嵐side〉
そう、俺は守るだけ。
そばにいるのは龍友くん。
だからこれ以上何も求めちゃいけない。
ホテルに歩き出す俺達
少し喋って静かになって
って帰り道はずっとそんな感じ
でも急にあなたさんが
…………やっぱり変わってない
そうだよ、
あなたにはカクテルより
りんごジュースが似合ってる。
なんて言葉が言えるなら
俺はどれほど楽だろう。
本当にありがとうございます
って笑うあなたさんを見て
守るだけ。って立場でも
ずっとあなたさんはその笑顔を
俺に向けてくれるかな。
なんてことを考えて
まだ素直になれない自分と
心の中で戦ってた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。